第1回 カレーを作るのにスパイスはどうやって配合すればいい?
最近小説を投稿できていないので、新しくエッセイを始めることとしました。
「料理オタクによる料理エッセイ」と銘打った料理のエッセイです。
第1回は「スパイスはどのように配合すればいいのか」がテーマです。
第1回からかなりマニアックなテーマとなってしまっておりますが。
「カレーをスパイスを自分で配合して作ってみたいとは思っているけど、
実際にどんなふうにスパイスを配合すればいいのかわからない」
と思っている人はけっこういるかと思います。
このエッセイではスパイスの配合についてごく初歩的なことから書いていきます。
◎カレーの3大スパイス
スパイスを自分で配合できるようになるためには、
個々のスパイスがどういう香り・味・風味を持っているのかを知る必要があります。
ただスパイスはものすごく多くの種類があるため、
いきなり10~20ものスパイスを買ってそこまでするのは大変です。
そこでまずカレーを作るうえでの3大スパイスを紹介します。
それがクミン、コリアンダー、ターメリックです。
この3つのスパイスだけでカレーを作ることも可能ではあります。
スパイスに凝るようになるとパウダーだけでなくホール(実の形のままのもの)も
扱うようになってきますが、ここでは簡単のためにパウダースパイスだけ扱います。
この3つのスパイスの風味や香りの特徴は次のような感じです。
1. クミン
・香りはまさにカレーそのものといったもので、
カレーの香りの大半はこのクミンの香り
・味はそこまでクセがなく、甘い香りなどもない
[クミンのポイント]
・カレーらしい香りの強さは主にこのクミンで決める
・クセがないので少々多めに入れすぎても味が壊れることはほぼない
2. コリアンダー
・クミンよりは香り・風味共に穏やかでクセも甘い香りもない
・クミンと合わせることでカレーらしい風味をより強調する
[コリアンダーのポイント]
・カレーらしい風味を作るうえでのクミンと並ぶ二大巨頭
・香りがクミンより穏やかなので、香りを強くしすぎない役割として役立つ
・クミンよりもさらにクセがないので多く入れても問題はほぼない
ちなみにコリアンダーとパクチー(香菜)は植物としては同じものです。
パクチーはコリアンダーの葉で、スパイスのコリアンダーは種です。
スパイスとしてのコリアンダー(種の粉末)はパクチーぽい風味はありません。
3. ターメリック
・香りは他の2つよりも穏やかで、黄色い色を付けるための役割が大きい
・日本の昔ながらの黄色いカレーの黄色はこのターメリックによるもの
[ターメリックのポイント]
・香りよりも色を付けるための役割が強い
・香りや風味はこの3つの中で一番穏やかなので入れすぎても問題ない
ここまでの解説で分かるように、この3つのスパイスはどれも
「香りのクセが強くないので入れすぎても大きな問題がほぼ生じない」
という点で非常に使いやすいです。
カレーらしい風味をガツンと立てたいときはクミンを多く、
スパイス感は立てないけど穏やかな香りにしたいときはコリアンダー、
日本風カレーらしい黄色を立てたいときはターメリック、
こんなふうに自分の好みでミックスすればいいです。
ちなみに日本のカレー粉(S&Bの赤缶)などはかなり黄色が強いですが、
これはターメリックがかなり多めに配合されているためです。
◎さらに幅を広げるための+4スパイス
ごくベーシックなカレーは先に紹介した3大スパイスだけで作れますが、
ここに以下の4スパイスを加えれば一気に香りの幅を広げることができます。
1. カルダモン
・香りはかなり鮮烈で清涼感やクセが強い
・シャープな香りをプラスしたいときに使う
[カルダモンのポイント]
・カレーにさらにバチッと強い香りをつけたいときに使う
・クセやパンチが強いので入れすぎには注意
クミンとコリアンダーに次いでカレーのスパイシーな香りを
立てるのに役立つスパイスですが、前者2つよりもクセが強いです。
なので最初は少量から入れてバランスを探るほうがいいです。
2. クローブ
・香りは甘く、一方で味は舌にビリッとくる渋さと痺れがある
[クローブのポイント]
・味のクセが強いので入れすぎには注意
香りの甘さと風味のアクセントのギャップが大きいスパイスです。
ただし少量加えればカレーの風味の奥深さが広がってくれます。
3. シナモン
・香りも風味も甘く優しい
[シナモンのポイント]
・クセは強くないものの香りがかなり甘いのでほどほどにとどめる
お菓子作りでよく使われるシナモンもカレーで非常によく使います。
クローブと合わせることで軽く甘い香りをプラスさせます。
4. フェネグリーク
・香りは甘く優しい
・ちょっとだけハーブっぽさがある
[フェネグリークのポイント]
・この4つのスパイスの中では最もクセがなく使いやすい
・ただしインドカレーではあまり使わない
・日本風カレーでは定番のスパイスなので多めに使う
なぜか日本のカレーでよく使われるスパイスで、
日本のカレー粉ではこのスパイスが4番目に多く入っていることが多いです。
たとえばS&Bの赤缶などでもこのスパイスの割合はけっこう高いです。
それゆえ日本的なカレーを作る際には持っておくといいです。
逆にインドカレーだけを作りたい場合はなくても問題ないです。
◎スパイスの香りは舌で身に着ける
ここまで7つのスパイスの香り・風味・味について紹介してきましたが、
文字で見るだけではまだ十分にスパイスについて理解はできません。
ここで大事なのは、この7つのスパイスを手元にそろえたうえで、
それぞれのスパイスを少し手に取って単体で味わってみることです。
この7つのスパイスは別に辛さはないので、
単体で味わうのが難しいということもないですし。
(ただしクローブとカルダモンはややクセが強いですが)
この文章に書いてある内容を頭に入れつつ各種スパイスを味わうと、
「なるほど、このスパイスはこういう香りなのか」と頭に入るので、
だんだんとカレーを作りながら「あとこのスパイスを少し足せばいいか」、
「今回はあのスパイスがちょっと多かったか」などが読めるようになってきます。
◎おまけの3スパイス
最後に味わわなくても特徴がすぐにわかる3スパイスを紹介しておきます。
1. チリペッパー
・赤唐辛子の粉末のこと
・日本の一味唐辛子よりも粒が小さいのでカレーに向く
・胡椒と比べてよりストレートで鮮烈な辛さ
[注意]
スパイス売り場には「チリペッパー」だけでなく「チリパウダー」もありますが両者は別物です。
「チリパウダー」はチリペッパーをメインに他の香辛料を加えた複合スパイスです。
2. ブラックペッパー
・黒胡椒の粉末
・唐辛子ほど辛くはなく、清涼感のある香りと辛味がある
3. パプリカ
・赤パプリカ(ジャンボピーマン)を粉末にしたもの
・色は真っ赤ですが風味はほぼなく、赤い色をつけるためのスパイス
[パプリカのポイント]
・辛さはつけたくないけど、色は赤くしたいというときに使う
・風味がほぼないので、入れて味が壊れることはまずない
・タンドリーチキンが赤いのはこのパプリカによるもの
◎ガラムマサラって何?
「カレースパイスについては詳しくないけどガラムマサラは一応持ってる」
という人はそこそこ多いかと思います。
「カレーの仕上げ用スパイス」として知られているものです。
ガラムマサラは簡単に言うと、
「香りが強めのスパイスと辛味スパイスを合わせた複合スパイス」
です。
しかもその中身はほぼ全て上記で紹介したスパイスばかりです。
S&Bのガラムマサラだと次のような配合になっています。
辛味系:ブラックペッパー、チリペッパー、ホワイトペッパー
(要は胡椒と唐辛子)
香り系:コリアンダー、カルダモン、クミン、クローブ、シナモン
なのでこの記事を読んだ人であればすでに理解したスパイスばかりですね。
◎これでスパイスからどうカレーを作る?
今回の記事をもとにすれば、インド系のカレーはほぼ作れます。
たとえば次のようなレシピでインド風チキンカレーが作れます。
1.
鶏肉・玉ねぎ・おろしにんにく・おろし生姜を炒める。
(ここで後にトマトを加えて炒めたり、3.の段階でトマトジュースを加えるのもアリ)
2.
クミン(多)、コリアンダー(多)、ターメリック(中)、
クローブ(小)、シナモン(小)を加えて少し炒める。
3.
水を加えて煮込んで適度な濃度にすれば完成。
(このとき鶏ガラスープやコンソメなどを加えても可)
ただし欧風カレーや日本風カレーはスパイスの配合だけではなく、
もう一つ手間のかかる作業が入ってくるため、
ここにさらに一つおぼえないといけないことが入ってきます。
なので、スパイスから配合するカレーは日本風カレーよりも、
むしろインド系カレーのほうが入門としてやりやすかったりします。
ぜひみなさんもスパイスから配合したカレーを楽しんでみてください。




