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☆プロローグ☆

ファンタジックコメディ物です!

楽しんでいただけたら嬉しいです。



小さい頃、よく見ていた美少女変身系のアニメだとか

戦隊ヒーロー物に憧れてた。

平凡な私が世界を救うなんてカッコイイと―――。


今は、そんな夢を描いてた自分を抹消したい!


******

 ここは、東京にも程近い、関東にある夢見台市。程よく都会であるこの街では、近頃変わった犯罪が多発していた。それも、特定の人物たちによって。それは・・・。


 ここは、真夜中の市内にある大豪邸。とある国会議員の本宅であり、純和風の家には、錦鯉まで泳いでいる。しかし、夜中だというのに、家の周りは警官達で溢れかえっている。それは、この家に保管されていた一千万円はくだらない絵画が盗まれたからだ。


「またこの手口か!一体何だっていうんだ!?」


 指揮を執っているのは、夢見台署刑事課のトップ、雪野太郎(ゆきのたろう)。年齢45歳のベテラン刑事である。今まで数々の事件を解決してきた敏腕刑事(でか)であるが、この事件に関しては、まったく犯人の正体が掴めていなかった。というのも、


「警部、詳細が分かりました。やはり、前の事件と同じく、この奇妙なメッセージカードが残されているのみで、その他の証拠が一切残っていません。」


「やはりか。・・・同じ犯人たちに違いない。しかも相当な知能犯だろう。それにしても、

 “この絵画は、我ら天界の騎士団がいただいた”?まったくふざけた輩だ!」


 そう、最近、夢見台市内で、この「天界の騎士団」を名乗る窃盗団による被害が多発していた。盗まれる物は、有名な絵画や壺、いわゆる芸術品と呼ばれる物ばかり。しかも、奇妙なのが、


「それで、被害者の方なんですが、犯人の顔を覚えてない上、絵画の行方などに興味はないと。なんでも衝動的に買ってしまった物で、絵画を買ってから家族が怪我を負うなどの奇妙なことが続いていたらしく、そんな縁起の悪いものが盗まれても気にしないそうで・・・。」


「ここの被害者もか・・・。」


 そう、盗まれた芸術品は、被害者にとって不幸を呼ぶようなものが多いらしく、誰も被害届を出そうとしなかったのだ。むしろ、呪われているような物を盗んでくれて、感謝したいという被害者まで出る始末だった。


「一体なんだって言うんだ・・・。」


 警部の呟きは、夜風の中に消えていった。


******

 一方、こちらは、先ほどの大豪邸の程近くにある、とあるビルの屋上。月の光に紛れて、三人の人影が話している。


「今回はヘマせずにすんだみたいだね。それにしても、この天界の騎士団なんていうアホなネーミングはどうにかして欲しいんだけどなぁ。」


 そう発言したのは、綺麗な黒髪にたれ目、少しナルシスト気質もうかがえる美男子だった。


「文句があるなら、あの馬鹿天使に言ってよ!っていうか、今回も任務終わったら早々に姿くらませるし、なんなのよ!!」


 地団駄を踏んで叫んでいるのは、金髪に碧眼の王子様風美男子だった。少々女っぽい言葉づかいだが。


「ユキ、地が出てるわよ。アンタは今男なんだから。自重しなさい。」


 「・・・ゴメン。」


 最後に発言したのは、三人の中で唯一の女の子。綺麗な栗色の髪を二つに高く結う、人形のように愛らしい少女である。萌え系というか、ゴスロリが似合いそうである。


 そして、三人とも、とても変わったコスチュームをきていた。黒髪美男子は赤、王子様風美男子は青、そして、栗色の髪の美少女は桃色を基調とした、まるで、近代西洋の軍服のような、揃いの服であった。

 

「ハーイ!皆、お疲れ様ー!!今日も良くカケラを集めてくれました!!」


「「「うわっ!!!」」」

 

 すると、突然、三人の背後に人が現れた。


「ギガンディス!一体どこいってたのよ!!」


 大層な名前で呼ばれたのは、名前に似合わず、金髪に緑眼をした、巨乳の可憐な美少女だ。三人よりは幼くみえるが、口調からするとそうではないようだった。しかし、何よりの特徴は、その背中に真っ白な翼が生えていることである。


「いやぁ、本部に行ってたら、予想外に引き留められちゃってね!でもでも、天使長様も、アンタ達の働きに大変感謝されてたわ!やっぱり三人組(スリーマンセル)になると違うわね!」


「ホント、機嫌がいい時とそうじゃない時の差が激しいよねぇ。(ボソッ)」


「・・・。なんか言った??(にっこり)」


「イエナンデモないです!!」

 

 天使な美少女は、腹黒女王でもあった。


「ともかく、今日の任務はこれで終わり!変身解いていいわよ。」


そうギガンディスが言うと


「「「神の御名の元に。解除(リリース)!」」」


 三人が唱えると、一瞬光を放ったかと思うと、そこには、さっきとは異なる三人の姿があった。


「・・・ほんと、性格まで変わるのはどうかと思いますけどね・・・。」


先ほどの黒髪美男子が居たところには、学生服をきた、髪がぼさぼさで、いかにもオタクな雰囲気を醸し出す少年。


「それは、あんたの理想の姿になってるんだから、少しぐらい変わっても当然でしょ。まぁ、あたしは、あんまり変わんないからいいけどね。コスチュームのスカート丈はどうにかして欲しいけど。」


 そう発言したのは、先ほどの栗色の髪の美少女の位置に現れた、黒髪ロングヘアーのスレンダーな美少女である。顔立ちはさほど変わらないが、先ほどの少女より、大人びているし、なにより醸し出す雰囲気が動から静に変わったように、落ち着いたものになっている。ちなみに、この少女は校章の入ったブレザーにチェックのスカートという制服姿である。


「二人ともいいじゃない!性別が同じなんだから!私なんか、女から男になるのよ!!あんの腐れ天使のせいで!!」


 最後に、王子様風美男子がいたところに現れたのは、黒髪セミロングで、ちょっと巨乳な童顔の少女である。いたって平凡な容姿のため、黒髪美少女の隣では霞んで見えるのが悲しい。ちなみに黒髪美少女と同じ制服を着ている。


「あら、だって、うさぎの希望どうりのはずじゃない?美形で世界を救う主人公みたいな容姿がいいって言ったじゃない?」


「性別が変わるなんて聞いてないわよぉ!昔流行ったセーラー戦士みたいな美少女戦士がよかったのに―――!!」


「いいじゃなぁい?名前は同じ“うさぎ”でしょ??」


「うぅ!ギガンディスの大馬鹿ヤロー!!」


******

 私の名前は、市村うさぎ。平凡な高校生。肌が白いから、ユキウサギとか、ユキとかよばれてます。名前の由来は、昔に流行った某美少女戦士アニメの主人公から。両親もなんでそんな名前つけたのかわかんないけど、そのおかげで、昔からヒーロー物が大好きだった。


 だけど、そんな大層な人にはなれるワケないって思ってたんだ。

 あの金髪天使・ギガンディスに出会うまでは―――――!!


 というか、やっぱり美少女に変身したかったよぉぉ!!!


―――――そんなわけで、うさぎ達の物語が、今始まる!―――――



次回からは、過去主人公うさぎと天使の出会い編です。

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