花になれるなら※注
注意:この作品は以下の要素を含みます
・弱残酷描写
・鬱
・挿絵
苦手な方は閲覧しないことをオススメします。
「桃華は花になれるなら何が良いの?」
「私は~、凛華と同じ花が良いな!凛華は何がいーい?」
「私は・・・」
短編 花になれるなら
この国には表と裏が存在している。
街の中心の城まで延びた大通り。様々な屋台が立ち並び、多くの人が掘り出し物は無いかと練り歩く。
大通りから少し逸れたところにある住宅街に住む主婦は、主人や子供たちの為に安くて美味しい野菜を探す。
夜は酒場から笑い声が絶えず、深夜はひっそりとバーから光が漏れている。
そんな表の世界の裏側____
ある家にて、子が生まれた。しかし名は無い。
何故なら竜の子だったからだ。
竜の子。頭に二つの角があり、背の下には竜の様な尾が生えた子供。
竜の子は災いの元。
この国では、昔からそう言い伝えられてきた。
しかし、ただ言い伝えられたのでは無い。
竜の子の角目当ての族や商人に襲われるからという、皮肉にも合理的な理由で言い伝えられたのだ。
* * * *
竜の子は成長が早く、初めからある程度の知能がある。
だから理解できる。私は捨てられたのだ。
路地裏でごみを漁るも、めぼしい物は既に無かった。
それもそうだ。竜の子以外にも、職を失くし、家を失くした者はたくさんいるのだから。
もう何日食事にありつけていないだろう。
もう何日陽に当たっていないだろう。
きっと私はこの暗い路地で死ぬのだろう。
壁に寄りかかって、ゆっくりと目を閉じる。
「ねえねえ、あなたは竜の子?」
声がして目を開けると、ぱっちりした赤い目の少女がいた。
ふわふわの赤い髪に付いた、淡いピンクの角。この子も竜の子だ・・・。
「そうだけど、なに?」
「やったぁ!一緒だね♪」
にこっと笑った顔がやけに忌々しい。
こっちは、笑っていられる余裕なんてないのに。
「何の用?」
「竜の子がいて嬉しいなって!良かった~!」
「・・・・・・。」
「私、桃華っていうの!」
「・・・名前があってよかったね。」
「うん!自分で付けたの~」
「呼んでくれる人なんていないのに。」
「あなたにも名前付けてあげる!」
「そんなの要らない。」
「あ、じゃあ凜華!凜としててカッコいいから!」
「・・・・・・・・。」
変な子。
突然話しかけて名前をあげるだなんて。
全部無駄なのに。
それなのに。
心が少しだけ暖かくなるのは何故だろう。
その子・・・桃華は拾ってきた食べ物を半分分け与えてくれた。
いつも通り腐っていたけど、食べられるなら何でもいいと思った。
腐ったパンは不味かったけど、
「食べられて幸せ~」
なんて桃華が言うから、呑気だと思っている内に食べあげていた。
次の日、食べ物を見つけた。
でも、1人で食べるにはあまりに不味かったから桃華にもあげた。
目を輝かせて喜んでいた。
気付けば、ときどき会っては物資を交換したりするようになっていた。
会う度、桃華は世間話のような話をしてくる。
「今日は風が強いねぇ。」
だの
「今日のご飯は美味しいねぇ。」
だの、まるで普通に生きる人々のような言葉を掛けてくる。
明日には死ぬかもしれないのに。奴隷商に連れていかれるかもしれないのに。
そんな事を微塵も感じさせない雰囲気だった。
やがて、風が冷たい季節が来た。息が白くなって、手足がかじかみ、全身が震える。どこかで拾ってきたボロボロの布を身体に巻いて、寒さを凌ぐ。
うずくまって、なるべく体力を消費しないように、暖かさを閉じ込めるように。
寒い…。
それでも街の隙間、路地裏を吹き抜ける風は強くて。いくら惨めにうずくまっても、いくら肩を震わせても、破れた布の隙間から、地面の僅かな凹凸から、容赦なく風が吹き込んでくる。
寒い風なんて無くなってしまえばいい。
空気なんて無くなってしまえばいい。
それで息が出来なくなってみんな死んでしまえばいい。
寒い。寒い。寒い、寒い、寒い寒い寒い寒いさむいさむいさむい
のし、っと何かがのしかかる。
重さと共に、温度を感じる。
そして、視界の端に赤い髪が見えた。
「わぁ、凜華ちゃんあったかい!!」
「と……桃華……?」
耳元ですっかり聞き馴染んでしまった声が聞こえた。
顔を上げてみれば、すぐ真横に桃華の顔。
「2人なら、あったさ2倍!」
そう言って、ニコッと笑顔を向ける。
忌々しいはずの、呑気な笑顔。
それが、どうしようもなく暖かくて、心強くて。
気付けば涙が溢れていた。
「あ、あれ!?苦しかった!?ごめんね!!」
そう言って、桃華は離れようとする。
袖を掴んで引っ張り戻した。
2枚の布を2人で掛けて、抱き合って暖を取った。
ふたつはとても暖かい。
気付けば、眠りに落ちていた。
そうやって2人で冬を越し、春を迎えて暖かくなった。もう2人で行動する意味もない。
それでも、何となく一緒にいた。何となく。
「わぁ!見て、お花が咲いてる〜!!」
道端に生えた雑草を見て、大喜びする桃華。花になど気を使っている場合では無い。
容赦なく花を積み、口に含む。ほとんど噛まずに飲み込めば、花の味も悪くないものだ。
「あぁっ!食べちゃった…。」
「そんなに花が好きなの?」
「うん!」
「自分の命より?」
「・・・・・可愛いじゃん!」
「・・・・・・・・。」
全く返答になっていないので無視した。
「そういえばね!もうすぐ私の誕生日なんだよ!!」
「誕生日…?」
何を呑気な事を…と思ったが、それはいつもの事だった。
「そう!暖かくなって、日陰がとっても過ごしやすくなってきた頃!!」
「そうなんだ。」
「凜華ちゃんはお誕生日いつ?」
「知らない。寒い時期じゃない?」
当然、寒い時期かどうかなんて分からないので適当だ。
「え〜!じゃあもう過ぎちゃったじゃん!!」
「そうだね。」
この会話に何の意味があるのか。
下らない会話をしている内に、随分時間が経ってしまった。
夜。あれからまだ一緒に寝ている。
まだ…夜は寒いし…。
温度を感じている内に、眠りへ落ちた。
目が覚めると、隣りに桃華が居なかった。食料でも探しに行ったのだろうか。起き上がって探しに行こうとした時。
「あ!おはよう〜!」
ちょうど後ろから声がした。
「どこ行って…」
振り返った瞬間、桃華の手の中に白いものが見えた。
「そ、それ…。」
「これはねー、ケーキ!!お祝いの時に食べるんだって〜!」
手の中でべちゃっと潰れたケーキは、中の苺が見えていた。
「え…?それ、どこで…??」
「スイーツ屋さんでとってきた!」
強奪…!?
店の人に捕まって、奴隷商に突き出されるかもしれないのに…!?
「ば、馬鹿なの…!?なんで??」
「凜華のお誕生日、何かお祝いしてあげたくて…。」
そんな事のために自分の人生を賭けるような事をした…??信じられない。呑気とか言う次元では無い。
「…いや…だった…?」
「・・・・・・・。」
嫌では無い。嫌では無いけど…。
せっかく得られたまともな食べ物。
何故か、食べるのは気が引けてしまう。
「・・・半分、食べて。」
「いやいや、これは凜華の為に…」
「良いから。そうじゃなきゃ食べない。」
「えぇ〜…。」
およそ半分を桃華の手から拭い取り、少しだけかじる。
「どお?美味しい??」
不安そうに顔を覗き込む桃華。
「・・・・・おいしい。」
犬のように貪って、舐めて口の中の味をめいっぱい堪能する。
明日に残しておかないと、そんな考えは無かった。
「凜華天才!一緒に食べれば、美味しさ100倍だね!」
そんな言葉が聞こえ、桃華の方を見れば頬や口の周りにクリームを付けた桃華がいつもの顔で笑っていた。
「ふふ、ばっちぃ。」
桃華の頬からクリームを指ですくって舐める。
「えへへ、凜華、初めて笑ってくれた!!」
「笑った……?私が……?」
こんな。こんな世界で、笑う事が、笑える事があったなんて。私は何故笑ったの?何故笑えたの?
混乱する私に、桃華は嬉しそうに笑いかける。
その呑気な笑顔を見ていたら、そんな事、どうでも良くなってしまった。
その夜。いつもの布にくるまって、2人で横になる。
「ねぇねぇ知ってる?竜の子は、死んじゃったら永遠に枯れない花になるんだって。」
「聞いたことない。」
「だって私が考えたもん。」
「なにそれ。」
「でも、花になれたら素敵じゃない?」
「死んじゃってるし、意味なんて無いよ。」
桃華は、本当にいつもよく分からない事を言う。
「桃華は花になれるなら何が良いの?」
「私は~、凛華と同じ花が良いな!凛華は何がいーい?」
「私は・・・」
少し考えて、止めた。
「別に興味無い。花になんてなれっこないし。」
「え〜?」
目を瞑って、寝たふりをする。
「凜華、おやすみ。」
* * * *
暖かくなった。桃華とはまだ何となく一緒にいた。何となく。
「私の季節!!いい事あるかも!!」
「元気だね…。」
桃華の季節じゃなくて桃華の誕生日の季節だし、誕生日の季節に良いことがあるなら、私に誕生日なんて無かったのだろう。
いや、でも・・・。
「考え込んでどうしたの??」
「何でもない。」
今日も食べ物を探しに行かなければ。暖かくなれば、その分早く食べ物が腐ってしまう。
「早く食べれるもの探そ。」
「うん!今日はっ良いものっ見つかるぞっ♪」
どこまで呑気なのだろうか…。
明け方。私はコッソリ寝床を抜け出した。
とある場所を目指して、薄暗い路地裏を進む。
昼の内に道は覚えた。
左へ曲がって、右へ2回曲がって、左に3回曲がる。
大通りを挟んだ向かいに、目的の場所が見えてきた。
Flower shop
店は閉まり明かりが消えている。
ここの店主はズボラで、窓の鍵を閉めないのは確認済み。
窓を開け中に侵入する。
むせ返りそうなほどの花の匂いが肺いっぱいに広がった。
この空気を桃華に分けてやれないだろうか。
誕生日プレゼント。
少し前の私なら考えもしなかった。
桃華はどんな花が好きだろう。
どんな花なら呑気な笑顔で笑ってくれるだろう。
前に桃華が言っていた事を思い出した。
[桃華は花になれるなら何が良いの?]
[私は~、凛華と同じ花が良いな!]
本棚に並んでいる本から、1冊選んでページを捲る。どれだろう…どれなら…。
これだ!!
本と同じ花を探したが見つからない。
まさか、ここには置いていないのだろうか。
バックヤードに入り、手当り次第に棚を開ける。
「……あった。」
種だが、目的の花を発見した。
良い。すぐ枯れてしまうなら、咲くのを待った方がいいだろう。
でも、随分時間を使ってしまった。
早く出なければ_______
「君は誰だ!?」
「!!」
まずい、見つかった…!?
種を握りしめ、全速力で路地裏まで駆け込む。
「こら!!返しなさい!!!うちの商品だぞ!!!!!」
素人に路地裏の道なんて迷宮でしかない。
私が何年路地裏で暮らして来たと思っているのか。
恨むなら、その杜撰な管理を恨むこと。
一応帰り道とは別の方向へ来たが、どうやらもう追ってきていないらしい。あのふくよかな図体なら、細い路地には入れないし断念したのだろう。
もう明るくなったし、桃華が起きているかもしれない。急いで戻ろう。
「はぁ、はぁ…。」
息が上がっているはずなのに、別に走らなくたって良いのに、胸が高鳴ってしょうがない。
早く桃華に会いたい。
どんな反応をしてくれるだろうか。
2人で寝ていたはずの場所に桃華の姿は無く、ぐちゃぐちゃになったボロ布だけが取り残されていた。
しまった。私を探しに出てしまったか。
待っていれば戻ってくるかな、と座ろうとした瞬間。
「やめて!!やめてよ!!!!」
そんな、桃華の叫び声が聞こえた。
路地の角からそっと通りを覗くと、商人と思われる男が3人、桃華に首輪を付けようとしていた。
恐らく、角を得るために誘拐しようとしている。
「桃華を離せぇぇえ!!!!!!!!」
危険だとか、巻き込まれるとか、何も考えなかった。気づいたら走り出していて、男を1人突き飛ばした。
「なんだこのガキ!!!」
「おい、このガキも竜の子だぞ!」
気持ちの悪い声を出すやつらから庇うように、桃華を抱きしめる。
「凜華、ちゃん…なんで、逃げて…。」
えずく桃華の腕を引き路地裏へ逃げ込もうとするが、首根っこを掴まれてしまった。
「うがっ…、っ離せぇ!!!」
必死に暴れるが、ろくに何も食べていない少女に何ができようか。
「クソッ…暴れんなクソガキぃ!!!」
いとも簡単に押さえつけられ、首輪と手錠を付けられてしまった。
「桃華…っ、桃華だけでも逃がしてっ!!」
「うるせぇなぁ。黙ってろ!!」
ついに口枷を付けられ、言葉すら発せない。
「やだ、やだぁっ!!!!」
願いも虚しく、桃華も同じように拘束され、嫌な匂いのする馬車に押し込まれた。
* * * *
暗い、ジメジメとした牢獄。カビと土の匂いで吐きそうだった。
でも、桃華が身を寄せてきて。
その嗅ぎなれた甘い匂いだけが心の支えだった。
数日水だけを与えられ、息も絶え絶えな頃。
1人の男が牢を開けた。そのままこちらへ歩いてきたかと思えば、桃華を引っ張って連れていこうとした。
「〜〜っ!!〜〜っ、〜!!!!」
必死に桃華の名前を呼ぶ。
立ち上がろうともがき、滑って転ぶ。
顎が、頬が痛い。
やめて。連れていかないで…。
最後にうっすらと見えたのは、桃華のいつもの呑気な笑顔だった。
そこから、どれだけ時間が経ったのか分からない。ただただ虚空な時間が過ぎた。
桃華に会いたい。
ただそれだけを想って。
「オマエの番だぞぉ。」
唐突に呼ばれ、私は従順に着いていく。
着いていけば、桃華と同じ所へいけると思った。
ベットのような台にうつ伏せで固定され、口枷を外される。叫ぶ気にもならなくて、ただその名前を呼ぶ。
「桃華……。」
うわ言の様に呟いた私に
「飲め。」
とだけ言われ、口に何かの薬を捩じ込まれる。
苦い。でも、路地裏で1人で食べた腐った肉よりはマシだった。
静かに、穏やかに意識は暗闇に沈んでいった。
目を覚ました時、一番に感じたのはいつもの腐った臭いだった。
だけど、景色が違う。
暗くて冷たい空間。そこら辺に子供の死体が転がり、腐った肉がこびりついた骨がたくさん落ちている。
「……とうか?」
声は静かに響く。
「どこ……。」
身体に、手足に力が入らない。
それでも、桃華を探して身体で這う。
「とうか……」
名前を呼ぶ。
死体の向こうに、ふわふわの赤い髪が見えた。
「とうか………」
死体を乗り越え、骨をどかしながら進む。
感覚は無いけれど、少しだけ手を動かせる。
うつ伏せに倒れる桃華。
ただ眠っているように穏やかで、ぱちっと目を開けては訳の分からない事を言い出しそうだった。
私は、ずっと口の奥に隠していたあるものを吐き出す。
それは、花屋でとってきた種だった。
桃華の手に種と自分の手を重ねる。
冷たくてかたい、桃華の手。
「桃華……誕生日おめでとう。」
ずっと言いたかった。ずっと分かってた。
花になれたなら
私は桃華に、桃華だけに
大好き
そう告げる花がいい。
そして、桃華の隣で咲き続けたい。
「……とうか……大好き。ありがとう。」
もし生まれ変わったら、真っ先に会いに行くから。
また呑気な笑顔で笑ってよ。
眠るように。穏やかに。桃華と共に寝た日々の様に。
私の意識は遠くへと失われて行った。
* * * *
ある男が、かつては栄えた街だった遺跡に足を踏み入れた。
男は遺跡を探索しながら、かつての人々の日々に思いを馳せる。
街の中心の城まで延びた大通り。様々な屋台が立ち並び、多くの人が掘り出し物は無いかと練り歩く。
大通りから少し逸れたところにある住宅街に住む主婦は、主人や子供たちの為に安くて美味しい野菜を探す。
夜は酒場から笑い声が絶えず、深夜はひっそりとバーから光が漏れている。
しかし、そんな街の路地裏では家を失った多くのもの達が生きる為に命をかけていただろう。
そんな街だっただろうと、路地裏に放置された糸の集合体のようなボロ布を見て思う。
男はとある建物に入り、床の砂や石を払い除ける。現れた窪みに手をかけ、横にずらせば地下室への入り口が開かれた。
地下室には小さな牢と拘束具達。奥へ進めば、石の手術台のようなものもある。
そのさらに奥の階段。この世から隔絶されたような、鎖で閉じられた扉。
男はその先へと踏み入った。
* * * *
「凜~?そろそろ起きなさい~?」
「は~い・・・。」
倦怠感の残る身体を無理やり起こし、制服に着替えてからリビングまで引きずるように移動する。
「最近起きるの遅いわねぇ?」
「なんか変な夢ばっかり見てさ・・・。」
報道番組では、最近遺跡で発見されたものについて取り上げている。
テレビに表示された写真を見て、私は目を見張った。
「数百年、あるいは千年以上前から遺跡に眠っていた可能性があるそうです。現在、桜野美術館にて期間限定で展示中ですので、...」
私は、その情報を聞いた途端、財布とスマホを掴んで走り出した。
「あら?ちょっと凜?お弁当は?ていうかカバンは!?」
お母さんの声なんて聞こえなかった。家を飛び出し、桜野までの切符を買う。
心臓がどきどきした。意味はないのに、電車で走りたい気分だった。
ホームに降り、全速力でバス停まで駆け抜ける。
バスを降りる時料金が分からなかったから、適当に1000円渡して降りた。
平日の昼間だからか、美術館にはほとんど人がいない。
受付で入場券と買い、スタッフから見えないところまで来たところで、走って回る。
一番奥。正方形の部屋の真ん中にそれはあった。
ゆっくりと近づいてみる。
これだ・・・間違いない。
マナーなど無視してガラスに手を付け、思いを馳せる。
「あの・・・」
すっかり聞き馴染んでしまった声が聞こえ、私は振り返った。
* * * *
男が踏み込んだ先は、大量の骨が散乱する部屋だった。
しかし、どれも成長しきっていない子供の骨ばかり。かつての裏社会はどれほど残酷だったのか、と男は眉間にしわを寄せた。
部屋を見回し、一つだけ異様なものを見つけた。
男は近づいて周りを観察する。
男はそれを丁寧に箱に入れ、持ち帰った。
美術館向けのメッセージを書き、願いを込めて送り出す。
「どうか彼女達の魂が、再びここに集いますように」
花になれるなら
ここまで読んで頂き、ありがとうございました。
連載の合間に気分転換に書いていたものです。彼女達の想いを綴る内、かなり思い入れが深くなってしまい、最後のシーンでは思わず涙ぐんでしまいました。作者なのに。
思い入れのあまり挿絵まで描いてしまいました。
実は、この桃華と凛華という子達は元ネタがありまして「ポケコロツイン」というアプリゲームで私が育てている(?)キャラで話を作りたいと思ったのがきっかけだったんです。
なので、探せば見つかるかもしれません。ポケコロの世界ではとっても平和に暮らしてますので、ご安心ください。
こういう鬱っぽい話は本来好きでは無いのですが、鬱っぽい中でも美しく書けたのではないかと思います。
改めて、長文だったにも関わらず読んで頂きありがとうございました。
また、どこかの作品でお会いしましょう!




