最終章:復讐の終焉、そして新たな始まり
シャナは、国際法廷に引き出され、偽りの奇跡と陰謀の罪で終身刑となった。
リトアナ皇国とアストラル聖王国は、改革を始め、誤った情報を正す。
ユリシアとユリウスは、ファイザール王国で結婚式を挙げた。
その日、空には七色の虹が架かり、精霊たちが祝福の歌を奏でる。
リィーナとエディも、聖女と王太子の婚礼を執り行った。
彼女は、聖女としてではなく、「精霊の巫女」として、新たな信仰の道を切り開く。
数年後──ユリシアとユリウスの間に、双子の娘が誕生した。
リィーナとエディの間にも、息子と娘が生まれる。
四人の子供たちは、互いに誓った。
「私たちも、母さんたちみたいに、正義のために戦うんだ!」
ユリシアは、娘を抱きながら、遠くの空を見る。
「母さん……あなたが悪役と呼ばれたのは、運命のいたずらだったのね。でも、私はそれを、正義の物語に変えたわ」
リィーナも、微笑んだ。
「無能と言われた私が、今では多くの命を救っている。それが、最高の復讐よ」
風が、二人の髪を優しく撫でる。
かつて追放された少女たちの物語は、今、伝説として、世界中に語り継がれていった。
*****
誰もが、レッテルを貼られることを恐れる。
悪役、無能、失敗者──その言葉は、人の心を縛り、夢を潰す。
しかし、ユリシアとリィーナは、そのレッテルを破り捨てた。
悪役令嬢? ならば、正義の悪役になればいい。
無能聖女? ならば、新たな力で世界を救えばいい。
彼女たちの復讐は、憎しみの果てではなく、正義を取り戻すための旅だった。
そして、その旅の果てに待っていたのは──愛と希望、そして、新たな未来。
THE END