第三章:王都の陰謀、そして復讐の序曲
ファイザール王国の首都「ルミエール」は、光と影が交差する都市だった。
煌びやかな宮廷の裏で、貴族たちの陰謀が渦巻き、隣国との外交も緊張状態にある。
ユリウスとエディは、父王の意向に反して、ユリシアとリィーナを宮廷に迎え入れた。
「彼女たちは、我々の特別顧問として迎える。異議を唱える者は、我が剣で黙らせる」
ユリウスの断固とした宣言に、宮廷は震える。
一方、リトアナ皇国とアストラル聖王国では、ユリシアとリィーナの「死亡」が発表されていた。
しかし、シャナ・イワノヴァは、何かを感じ取っている。
「……あの二人は、生きている」
彼女は、鏡の前に立ち、黒い水晶に手をかざす。
そこに映るのは、ファイザール王国の城。そして、ユリシアとリィーナの姿。
「ならば、今こそ、戦いの始まりだわ」
シャナは、リトアナ皇太子グエル王子に密書を送った。
「ユリシアは生きている。そして、双子の王太子と結託している。皇国の危機だ」
グエル王子は、動揺する。
かつての婚約者への未練と、シャナへの信頼が交錯した。
「ユリシア……なぜ、あんな国に?」
彼は、軍を動かすことを決意する。
一方、リィーナは、エディと共に神殿を訪れ、かつての師に会った。
「リィーナ……本当に君は、女神の加護を失ったのか?」
「いいえ。加護は、形を変えただけです。私は、女神ではなく、精霊と繋がりました。そして、シャナが偽りの奇跡を使っていることも、知っています」
師は驚愕する。
「ならば、君こそが真の聖女だ」
リィーナは、静かにうなずいた。
「復讐のためではなく、正義のために──私は立ち上がる」