明くる晨の晴天に、真を索めて行き行けば(1)
うーむ。
……状況を整理すると、どうやらここは史実世界ではないらしい。よって、賀栄(文字を教えてもらった)二年というのも、別段幕末云々ではないらしい。そもそも長ケ暦漆參陸年とは16進数だから、10進数に直すと1846年だが、この当時にすでに西暦が浸透しているのはなんぼなんでもあり得ないとすると、恐らく皇紀的なものもあるのだろう。とはいえ、普通使うのは元号であり、長ケ暦というのは陰陽師的な存在くらいしか使わないらしい。あー、あの人ら確か本職は天文学者にしてカレンダー作成者だからな、うん。こっちの世界では魔法使えっけど。
で、皇紀の1846年と言えば、源平合戦が一段落付いた頃合いであろうと思われるが、そもそも史実世界とは全然関係が無いらしく、最近合戦がないかとか遷都令があったかとか聞いてみたら「?」な表情をされた。と、いうか、そもそもなんだが……。
「どうしたの? 保波。なんか様子が変よ?」
「え、ええ。……少し、自分でも違和感を感じていますが、地図と歴史書を持ってきてもらえますか?」
「あらあらまあまあ、保波もそんな年頃なのね! ……わかったわ、ちょっと待ってなさい」
「は、はい」
……歴史学は、異世界でも応用が利くことを証明してやろうじゃないの!