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悪の種子  作者: ひよこ1号


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見守る大人達

カルシファーに指示を与えつつ、思い当たってシヴィアは尋ねてみた。


「カルシファーから見て、フローレンスはどんな子かしら」

「……多少勘気はお強うございますが、我儘というほどでもないかと……ただ、奥様との間で最近諍いがございまして、その際、花瓶を割った事を奥様のせいにされる嘘を。……ですが奥様が本当のことを仰ってるとは判断致しかねますので……」


「そう、分かったわ。大変な家に勤めさせているわね」

「シヴィアお嬢様の元でしたら、問題ございません」


世辞かもしれないが、その言葉に少しだけ安心してシヴィアは頷く。

今の時点でフローレンスが悪いとも、リアーヌがおかしくなっているとも判断は出来ない。

シヴィアに悪い面を見せないだけだとしても、それが演技とは思えないからだ。

少なくとも、抑止にはなれる、そう思いたい。

急ぎ足でシヴィアも自室へ戻り、どうしても持って行きたい物を選別する。


「持って行きたい物、というより必要な物、ね」


独り言を呟きながら、部屋を見回す。

幼い頃に買って貰った子供用の玩具や本は、領地へ行く時に整理したり処分したりした。

勉強に必要な本は、アルシェンと勉強に使うのに用意して貰った物くらいで、公爵家の書庫よりも王城の図書館の方が品揃えはいい。

領地の地誌や資料なども、必要最低限は頭に入っている。

実務に必要な書面は鞄に詰め込んだ。


用意を終えて立ち上がると、既にフローレンスは馬車に乗っているという。

シヴィアも遅れて乗り込んだ。



城へ向かうと、最初は離宮と言われていたのだが、どうせなら歩いて移動が出来る方が良いという事で、王妃と王太子妃など王族が住まう場所へと通された。


「シヴィアとフローレンスの部屋は続き部屋にしましたのよ」


にこにこ顔で王太子妃が言えば、王妃もにこにこ頷く。


「わたくし達の部屋と近いし、女性騎士も護衛に着いているから安心なさい」


「お気遣い感謝いたします」


二人の言葉に、シヴィアが美しい淑女の礼を執れば、姉に倣ってフローレンスもぎこちなく礼を執る。


従僕達が荷物を運び入れて、侍女達がわらわらと荷解きをしていく。

あっという間に部屋が整えられて、フローレンスはシヴィアの部屋と自分の部屋を行ったり来たりと探検している。


公爵家の自室より広い部屋に不安になったのか、結局フローレンスはシヴィアの部屋の長椅子にちょこんと居座る。

様子を見守っていた王妃と王太子妃も、その近くに座った。


「お姉様と一緒に寝てもいいですか?」

「ええ、いいわ。不安だものね?」


王太子妃がシヴィアの代わりに相槌を打てば、その言葉にフローレンスもこっくり頷く。


「お顔の傷がよくなるまでは、礼儀作法のお勉強ではなくて、字のお勉強にしましょうね。それに早く身体を治せるように、十分な栄養とお休みも必要よ」


「はい、おか……王太子妃殿下」


お母様、と言いかけて、フローレンスが言い直すのを見て、何とも言えない顔でルディーシャは微笑んだ。

そう呼んでもいいのよ、と言いたいけれど、さすがにそれは越権行為である。


「この宮殿に居る時はルディと呼んで頂戴。シヴィアもね」

「はい、ルディ様」

「ルディ様」


シヴィアの返事を聞いて、フローレンスも繰り返して名前を呼ぶ。


食事を一緒に摂るのも、傷が治ってからという事で、王妃と王太子妃が退出した後に、シヴィアとフローレンスの食事が部屋に運ばれて来た。


二人でゆっくりと食事を食べ、湯浴みをすると、どっと疲れが押し寄せて来て、シヴィアもフローレンスも一緒に寝台に入ると、すぐに寝息を立て始めたのである。

護衛も兼任する侍女はそれを見届けて、小間使いに伝えた。

小間使いは王妃の部屋へと報告に向かう。


「そう。安心してくれたのなら良かったこと。……シヴィアは気を張り詰めそうな子だから心配していたけれど、……本当にあの子には申し訳ない事をしたわ」


王妃の言葉にルディーシャも頷く。

同じように、偏見を持っていた事に、それが何をしなかったにしても、心苦しかった。


「もっと早くに知っていたら、守ってあげられたかもしれませんのに」

「これから守れば良いのです。二人を護る為の人員を育てなくてはならないわね。将来的には公爵家で雇うにしても、優秀な人材をつけるのが良いわ。あの毒蛇みたいな女が何を仕出かすか分からないもの」


ルディーシャも王妃の決断に強く頷いた。

親友のフローラから聞いていたのは苛烈な人だ、という事だったけど、とんでもなかった。

幼い子をあんな状態まで殴りつけるなんて、正気だとは思えない。


「ええ、お義母様。絶対に守り抜きますわ」


次期公爵というだけでなく、あの子達は守られるべき幼い女の子達なのだ。

女の子が欲しかった気持ちを抜きにしても、譲れない思いである。


2歳しか違わなくても、シヴィアから見ればフローレンスは幼い子供です。

でも、周囲の大人から見れば、シヴィアもまだまだ幼い7歳の少女。

今後はもっと強く育っていくと思うけど、今だけは少し。

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ひとときの夢 おわらない夢 なしとげた夢 ふたりでやすむの、とっても良きw 良い夢を〜
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