耐え難い苦痛
どうしてお母さんはいなくなったんだっけ?
…だめだ、全く思い出せない。これがここにあることも…。
まぁいいか。どうせ僕が呪い子だから捨てられたんだろう。
僕は本を読み始めた。主に読んでいるのはファンタジーの物語。
それを読んでいるときは本の世界には入れて自由になれる。だから本を読むのは好きだ。
バンッ!
でかい音とともに扉が開いた。そして、その前にお義母…いや、奥様がいた。
「どうされましたか?」
「どうもこうもないわよ!あんた、また勝手に図書館に行ったらしいじゃない!
あぁいやだわ、あんたのそのくっさい瘴気がほかの部屋にまで移っちゃう!」
奥様のヒステリックはいつものことだ。
「あぁもう!死ね!死ね!さっさとこの世から消えちまえ!」
そして、この暴力もいつもと一緒。僕にはどうすることもできないからただそのまま受けるだけ。
「…申し訳ありません。もう…しません。」
この場を抜けるには謝るのが手っ取り早い。
「ふん…。まぁいいわ、…次やったら聖域につれて行くわよ。」
「…」
「返事は?」
「はい…」
奥様はそのまま帰っていった。「聖域」という言葉を残して。
「はぁはぁ…嫌だ嫌だ怖い怖いいたいいたい!聖域だけは行きたくない…。」
『聖域』
それは、普通の人ならばとても心地がいいもの。そう普通の人ならば…。
だが、それが呪い持ちならば変わってくる。
聖は呪いを攻撃する。その攻撃は呪い持ちに耐え難い激痛を与える。
さっき受けた痛みと聖域への恐怖で僕は泣き崩れた。
「ねぇ…誰か助けてよ」