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ドラゴンデュアル  作者: 名無先戦士
第1章 舞い降りる竜の少年
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プロローグ

晴天の青空、手に行き渡らない程の白き雲。

そんな、幻想的な景色を目の前に落下していく黒髪の少年が居た。

彼の名は、神龍竜牙(しんりゅうりゅうが)

一辺人間にも見えるような姿をしている彼は、見習い神という神様の研修生のような神である。

その見習い神であるにも関わらず雑用という扱いを受け日々送っていた。

そんな彼が、何故落ちているのかというと。


――時を遡るのは、数時間前のこと。

日差しに照らされる白き雲の大地にポツンと佇む純白の巨大な塔「天神塔(てんじんとう)」と呼ばれる建物である会議が行われていたのだ。

この建物には神々や天使などが大勢住まう為、天界の調和を行う神々の会議のようなものが毎日行われている。

その会議に彼は呼ばれていた。

いつも雑用で掃除をしていた彼に急遽呼ばれたからなのだろうか、作業着で会議室のある一階へと向かっていった。

そこには、神域四天王と呼ばれる四人と一人の神々が椅子に座って集まっていた。

恐る恐る様子を伺えば、円型の机で其れに沿うように各自神々が座っていた。

然して、真ん中に偉そうに座り込む金髪で長髪の男が口を開いた。


「…漸く集まったか…」


低い声で聞くだけでも圧倒されるような男の名はゼウスニス。

四天王の中でもトップに立ち最高神という位に就いている。

所謂一番偉い奴だ。


「今回の会議は…なにを話すのじゃ?」


萎れたような声で話し出す老人の名はガイラ。

元神域四天王の1人だ。

そんな老人を足で蹴り押すかのような態度をとる少年が罵声を浴びせるように喋り出す。

「テメェは黙ってろよ、老いぼれジジイがよ!」

四天王の中でも一番の問題児である、彼の名はオーディン。つい先日までは神龍竜牙と同じ元見習い神だったらしい。

そんなオーディンが行った態度に腹を立てた竜牙は注意するように言い放った。

「なにしてんだよ!オーディン!師匠はなんもしてねぇだろ!」

「アァ?テメェにとやかく言われる筋合いはねェ!テメェは黙って聞いてろよ、雑用係がよ!」

「ぐっ…」

立場や身分が上にいるオーディンの発言に返す言葉がみつからなかった。たとえあったとしても同じような発言で締め括られるのがオチだからだ。

そんな口喧嘩ともみられる現状に沈めるかのように発言する女性がいた。

「一旦静かにするのを勧めるぞ?」

「アァ?見た目がエロいアンタに言われたくねぇな?」

「え、エロいだと…!?」

オーディンの言う通り、ある部分が異常にデカく露出も高い女性の神の名はエロス。容姿についてとやかく言われた彼女は落ち込み、それを宥めるように背筋を摩る彼女の名はアテナ。二人は昔から仲良しである女神だ。

竜牙の背後から大きな影が迫ってくる。

「餓鬼ガ何シテル?」

片言な言い方で竜牙の服の首元辺りをヒョイっと引っ張るように持ち上げるこの大きな鎧を纏った人物はカオス。オーディンの派生ガーディアンらしい。

カオスはオーディンから離れるように竜牙を壁の方へと投げ捨てる。

「がはぁっ!?」

「ふっ!だから俺に敵うわけねぇだろ?雑用係がよ」

口喧嘩の一息ついたところで、ゼウスニスが一つ咳払いをし、再び話し始める。

「今回、話す議題はこの天界に俺の命を狙う輩が潜んでいるということだ。」

この一言に、会議室に居合わせている全員が驚きを隠せないでいた。一番に反応を出したのは問題児であるオーディンだ。

「最高神であるゼウスニス様を…狙うだと…?貴様だろ!神龍竜牙!」

「なんで俺なんだよ!根拠はあんのかよ!」

「アァ?んなもん知るか!ムカつくからテメェにしただけだ!」

「お前…いい加減に…」

「黙れ…お前ら…まぁ、そうだなオーディンの言っていることは的をえている。」

「そ、そんな…!?」

「ってことは…!犯人は貴様か!?神龍竜牙!」

「あぁ、そうだ。いい加減その正体を顕にしたらどうだ?神龍竜牙よ」

「お、俺はそんなこと…」

「顕にせんでも、根拠となる証拠は持ち合わせている。それは…、天界の個室を見張りしていた天使から貴様が俺に対し、酷く敵対し暗殺計画を日々練っていることを耳にし俺に報告したということだ。」

…バレてしまった、あの時誰も居なかったはずだったのに。

俺は、何故ゼウスニスに酷く敵対していたかというとまだ五歳の時、親父と一緒に天神塔で暮らしていた頃、親父の様子があまり見かけないと思い共に過ごしていた部屋の様子を見に行くと、赤い槍と共に血を流していた親父の姿があったのだ。そして、何時しかゼウスニスの過ごしている部屋に掃除に入っていた時、偶然にも赤い槍が置かれているのを目にし、奴が殺したに違いないと考え、暗殺計画をその時から練っていたのだった。そんな計画が今粉々に壊され失敗に終わってしまった。

「反論せんということは図星なのだな…然し、どうするものか…こんな危険な人物をここにいてはいつ殺されるかわからないからな」

「なら、俺様に考えがある!コイツを奈落に落としてやりましょうぜ!そうすれば心配なく過ごせる!」

そう意見するかのように乗りでたオーディンに従うようにゼウスニスは竜牙の足元にある床板を不思議な力によって消し、竜牙は奈落へと落とされてしまったのだった。

そして、今現在竜牙はというと天界の真下にある人間や魔物が住まう下界へと真っ逆さまに落ちていったのだった。




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