表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

39/40

第39話 やる気の引き出し方

   ◆金曜日◆



「ふふ。なるほど、それでそんなにげっそりしているのね」

「笑いごとじゃないんだけど」



 日付をまたぎ、樹里は亜金へと変身した。

 結局樹里のやつ、最後の最後までやる気とヤる気が交互に来てしまい、集中は長続きせずに終わってしまった。

 一応、無理に勉強はさせたけど、定期試験まであと1ヶ月だ。

 勉強できるのはあと3回。このままじゃ赤点取って、単位落とすぞ……。



「大丈夫よ、アキくん」

「……どうしてそう言える?」

「なんだかんだ言っても、樹里は真面目だもの。必要に駆られたら、本気になるわ」

「でも通信制高校って、試験範囲ばか広いんだろ? いけるのか?」

「ええ。私は樹里を信じているから。あなたもでしょ?」

「まあな」



 樹里はやる時はやる子だと知っている。

 だから正直、樹里に関しては心配はない。

 それ以上に心配な子は、別にいる。


 俺が微妙そうな顔をして察したのか、亜金も苦笑いを浮かべた。



「1番心配なのは、月乃よね」

「そうなんだよ」



 月乃の担当教科は、英語だ。

 実は7人の中で、勉強が1番苦手なのは月乃だったりする。

 他の教科に関しては軒並み全滅。

 英語はギリギリで赤点を回避できるかどうかだ。

 樹里以上に気を引き締めて勉強を見てやらないとな。



「もしあれなら、私が英語をやるわよ」

「駄目だ。もう政治経済と保健体育を任せてるし、これ以上は負担だろ?」

「普通の人たちだって、全教科を1人で勉強しているじゃない」

「その分、他の人より勉強時間が限られるんだから、これで丁度いいんだよ。あと、月乃だけを甘やかすわけにはいかない」



 将来、もし社会に出ることができるようになったとき、自分が任せられたことをできないと、確実に苦労する。

 今から、少しずつ鍛えてやらないと。

 え、どこから目線? 保護者のつもりですが。



「ま、なんだかんだ中学のときも乗り切ったんだし、今回も大丈夫だって」

「なんとかならなかったときは?」

「普通に叱る」

「あぁ……あなたに叱られると、あの子たち落ち込むものね」

「言っておくけど、亜金が1番落ち込むの知ってるからな」

「うぐ……だ、だって……あなたには、叱られたくないから……」



 指をもじもじさせてしゅんとする亜金。

 別に俺だって、叱りたくて叱っているわけじゃない。必要だから叱っているだけだ。

 でもこの顔はずるい。可愛すぎる。

 思わず亜金の頭を撫でると、一瞬だけほにゃっと笑ったが、すぐに唇を尖らせてジト目を向けて来た。



「子供扱いしないでほしいのだけれど」

「子供っぽくて可愛いよ」

「誰が子供よっ」



 あ、怒った。

 ガルルルル……! と歯を見せて唸る亜金。

 こういう怒ったところも、意外と子供っぽくて可愛いんだよな。



「ま、勉強に関して言えば、亜金は心配してないよ。いつも通り、頑張ってくれたらいいから」

「わ、わかったわっ。頑張るわね」



 胸の前で拳を握り、ふんすっと息巻く。

 あと1ヶ月。その間は、みんなには勉強に集中してもらって、家のことは俺がやらないとな。



   ◆土曜日◆



「まままままままま待って明義殿っ。きょ、今日はゲームのイベントがっ、ぁる、から……!」



 ノートパソコンを抱き締めて部屋の隅に逃げているのは、ぼさぼさの髪に戻ってしまった土萌。

 目には涙を浮かべていて、全力で拒否している。



「駄目です。ゲームのイベントはいつでもあるけど、高校の定期試験は高校にしかないんんだから」

「で、でもぉ……」

「でもじゃありません。土萌は国語と情報の2つも担当があるんだから、しっかり勉強しないと」

「やぁ……!」



 まるでダンゴムシのように丸まった。

 そうだった。土萌はゲームでのイベントやリアイベが近いと、そっちが気になって勉強が手につかないんだった。

 だがしかし、そんな時の対処法も学習済みだ。

 俺は土萌の傍に跪くと、頭を優しく撫で、傍に置いていた紙袋に手を伸ばした。



「今勉強を頑張れば、もれなくちるい夜さんのサイン入りイラスト色紙が5枚ほど付いてきます」

「!?!?」



 ガバッッッ!!!! 急に顔を上げ、目を輝かせた。

 いやぁ、わかりやすい反応で助かる。



「ほ、ほっ、ほんっ、ほほほほんんんんんほんほんほんほんも、の……!?」

「もちろんだ。因みに七色土萌さんへという、直筆メッセージ入りの単品サインもある」

「ほげっ!?」



 え、どこから出たの、その声。

 土萌は目を輝かせると、ゴム手袋をして紙袋に入ったイラスト色紙やサインを取り出した。どっから取り出した、ゴム手袋。

 ネット情報によれば、ちるい夜さんはイラスト色紙を描くことが極端に少ないらしい。

 サインも、プレミアが付くほど限られた人しか持っていないんだとか。


 それが目の前にあるんだ。ファンなら、絶対に欲しいものだろう。



「勉強を頑張るなら、それを全部やるけど、どうする?」

「しましゅっっっ!!!!」



 わかりやすくて結構。

 はぁ……みんなのやる気を引き出すの、毎度の事ながら本当に疲れる……。

続きが気になる方、【評価】と【ブクマ】と【いいね】をどうかお願いします!


下部の星マークで評価出来ますので!


☆☆☆☆☆→★★★★★


こうして頂くと泣いて喜びます!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
自分も今年から通信制入ったんで気づいてなかったんですけどこれを読んで範囲がくそほど広いってことに気づきましたありがとうございます。あと普通に面白いのでこれからもほかの話でもいいので更新続けてくださると…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ