表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

23/40

第23話 急展開

 昼休みになった。

 ……なってしまった。

 一応午前中は、地雷ちゃんから話しかけられることはなかった。

 いつ話しかけられるか不安で、休み時間の度に教室から出ていったのもあるけど。

 けど、昼休みからは逃げられない。

 覚悟を決めるか。


 教室には地雷ちゃんはいない。もう先に行ってるみたいだ。

 弁当を持ち、誰にも目を向けられることなく教室を出る。



「キャッ……!」

「わっ……!」



 っぶねぇ。誰かにぶつかるところだった。

 けど相手は驚いて、床にプリントをぶちまけていた。

 あー、やっちまった。

 下を見ると、小さい子だった。

 あ、いや、子じゃない。このゆったりした服装と、緩いウェーブのかかった髪は……。



「あ、チル先生。すみません」

「あらあら、先生こそぼーっとしていまして。ごめんなさい、虹谷くん。あと、万智先生ですよー」



 俺たちの担任で国語担当である、万智瑠衣(まちるい)先生。

 大きな丸メガネがチャームポイント。

 おっとりぽわぽわした人で、常に笑顔を絶やさない。

 みんなからはチル先生とかチルちゃんと呼ばれていて、俺と違って慕われている。


 俺はしゃがみこみ、散らばったプリントを集めた。

 これを放置して行くほど、俺も人間は捨てていない。



「あらあら。虹谷くんありがとうございます」

「いえ、これくらい」



 チル先生もしゃがんでプリントを集める。

 同時に、フワッと香る大人の女性特有の匂いが鼻腔を撫でた。

 みんなとは違う匂いに、心臓が変に高鳴る。

 少し顔が熱くなったけど、無心でプリントを広い──



「虹谷くん、何かお悩み事がありますか?」

「……え?」



 思わずチル先生の方を見る。

 と、チル先生は俺に聖母のような微笑みを向けていた。

 これが、大人の女性の余裕というのだろうか。

 図星と合わせて、一瞬テンパってしまう。



「え、あ……な、なんでですか?」

「ふふ、これでも先生なんですよ。生徒のことはよく見ています。最近元気なさそうですし、心配していたんですよ」



 マジか。俺、チル先生とは授業で指された時以外は話してないのに。



「噂のことも、聞いています。ですが若い時じゃないとできないこともある。後悔のないように生きてください」

「……規模がでかいですね」

「人生の先輩からのアドバイスですよ」



 なんだそれ。

 けど……チル先生のおかげで、なんとか落ち着けた。

 後悔のないように、か。ありがたいお言葉だ。



「ありがとうございます。後悔のないように、やってみます」

「ヤってみますなんて、えっちですね」

「何言ってんの?」

「あらあら、冗談ですよ」



 今の時代、それもセクハラになりかねないので気をつけた方がいいかと。

 プリントを集め終えてチル先生に渡すと、頭を下げて校舎裏へ向かった。






 校舎裏に着くと、地雷ちゃんがいつもの様に広告紙に座って待っていた。



「すまん、遅れた」

「気にしないで。私が呼び付けたんだし」



 いつもはムスッとしてるのに、なぜか優しい。

 怖い。優しさが怖い。

 いつも通り距離を置いて座り、弁当を食べる。

 でも地雷ちゃんの方が気になって仕方ない。この無言が辛いです。

 黙々と昼飯を食べる俺と地雷ちゃん。

 と、地雷ちゃんがゆっくりと息を吐いて、こっちを見た。



「ねえ虹谷、聞きたいことがあるの。……月乃のことについて」



 来た、やっぱり来た。

 喉の奥に絡まる唾液を飲み込む。



「つ……月乃がどうした?」

「えっと……み、見間違いかもしれないけど……あの時の月乃、光ってた……?」



 少し緊張しているのか、おずおずと聞いてくる。

 勘違いと思っててくれたらよかったけど、ダメだったか。

 ここで俺が肯定すると、話が面倒な事になる。

 なら、俺は……知らぬ存ぜぬを貫く。



「気のせいだろ。街灯とか月明かりとかで、光って見えたんじゃないか?」

「それに、ちょっと縮んでたような……」

「薄暗い街灯だったから、見間違えたんだろ」

「髪も赤っぽくて伸びてた気が……」

「街灯の下だったからな」

「街灯便利すぎない?」



 鋭いツッコミ。確かに擦りすぎた。



「……言えないことなの?」

「なんのことだ? 何もないんだから、言うことなんてないぞ」



 地雷ちゃんには悪いけど、俺は秘密を貫き通す。

 2人には今後も仲良くしてもらいたい。

 もしこのことを話して2人の関係に亀裂ができたら、月乃に顔向けできないし。



「……わかったわ。変なこと聞いて、ごめん」

「いや、いいんだ」



 そう、これでいい。

 これでいいんだ。



   ◆1週間後・月曜日◆



「てなわけで、地雷ちゃん今日ボクの部屋に泊まるね☆」

「お邪魔します」



 ………………………………は????

続きが気になる方、【評価】と【ブクマ】と【いいね】をどうかお願いします!


下部の星マークで評価出来ますので!


☆☆☆☆☆→★★★★★


こうして頂くと泣いて喜びます!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 月曜日の24時が来たらどうなる。
2022/12/20 18:42 退会済み
管理
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ