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村に戻ると、プラトンは何も言わずに僕を開放してくれた。
「牛小屋、一応仮組みしてあるから」
牛小屋、と聞いて、シモーヌのことを思い出した。彼女はあの小屋とともに燃えてしまった。プラトンに言うべきだろう。しかし、人殺しとして僕は裁かれてしまう。黙っているべきだろうか。
「あの……」
プラトンを呼び止めようとしたとき、僕の視界に入り込んできた人物に驚いてしまった。
「シモーヌ……」
シモーヌが何事もなかったように歩いていた。
「あら、プラトン。何しているの」
シモーヌだった。あの小屋で燃えてしまったとばかり思っていた。それが、今、目の前でプラトンと談笑しているばかりか、少しのやけどの痕さえ無い。
「どうしたの、幽霊でも見るような顔で」
シモーヌが僕の顔を見て笑う。頬が引きつるのを感じた。




