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仏に逢うては仏を殺せ 父母に逢うては父母を殺せ  作者: よねり


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 僕は再び、バリケードの手前に来た。

「もう日が暮れます。危ないですよ」

「やっぱり来たのか」

 彼らがここに来るだろうなという予感はしていた。この先へ、僕が入っていかないように、彼らは見張っているのだ。

 僕は彼の言葉を無視して、バリケードをまたいだ。一瞬、こめかみに冷たい汗が落ちた。それでも、恐怖心を紙に巻いて火をつける。

 僕の口から、透明な煙が立ち上る。

 手には透明なジョイント。

 誰にも見えない、もちろん僕にも見えない空想のジョイント。

 それでも、僕のアタマはダウナーにスイッチングする。

 目をつぶって、ゆっくり足を下ろした。心臓が早鐘を打つ音が聞こえる。

 こめかみに冷たい汗が流れた。

 一呼吸。

 ゆっくり、目を開ける。特段、辺りが変わったわけではない。振り返ると、村人は、目をまん丸く剥いたまま、感情が消失したような表情で立ちすくんでいた。

 つばを飲み込む音がした。僕と彼とが見つめ合って長い時間が過ぎたような気がした。実際は、数秒のことだろう。

 しばらく僕を見つめたあと、彼は無言で村へ戻っていった。

 最初から、彼らには違和感があった。まるで、ゲームのNPCノンプレイヤーキャラクターみたいだ。

 村長は、答えたくないことに関しては笑顔と意味不明な言葉でやり過ごした。

 女医やプラトンやルネやデカルトは僕を誘導した。

 今まで、できるだけ考えないようにしていた。

 僕はとんだ臆病者だ。

 あのときだって、そうだった。

 あのとき?

 あのときとは、一体どのときだ?

 わからない。

 この島に流れ着いてから、何度も記憶が混濁する。経験した記憶のない記憶が、僕を苦しめる。

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