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バリケードのあるところまで戻ってきた。
「何処へ行くんですか」
背後から声を掛けられて振り返ると、僕は驚きのあまり腰を抜かしてしまって、その場にへたりこんだ。
「あ、あんた……さっき……」
先程死んだはずの村人だった。首の角度も戻って、にこやかな顔でまっすぐ立っている。
「もう日が暮れます。危ないですよ」
予め録音された音声を聞かされているみたいだった。
彼の顔に差していた陽の光が、ゆっくり姿を隠してゆく。
「もう陽は暮れた。あんただって戻らないと危ないぞ」
暗くなっても、彼が先程と同じ笑みをたたえているのがわかった。
「さあ、戻りましょう」
彼は僕の腕を取った。思いの外強い力で、腕にアザが出来た。
引きずられるように、村へ戻った。




