表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
仏に逢うては仏を殺せ 父母に逢うては父母を殺せ  作者: よねり


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
34/78

34


 頭痛が収まると、怪訝な目をしたヘルヴィムと目が合った。

「たまに、頭痛がしてフラッシュバックが起こるんだ」

「フラッシュバックねえ」

「まったく、別人の記憶のようなものが見える。僕には一切覚えがない記憶なんだ」

「それは」

 ヘルヴィムがもったいぶった口ぶりで言う。

平行世界パラレルワールドの記憶じゃないか?」

「平行世界? SFの?」

 今度は僕が馬鹿にしたような口ぶりで言う。

「SFをあなどっちゃあいけないよ。SFは遠い未来の現実さ」

 冷静に見せかけているようで、ムキになっているのがわかった。

「その平行世界がどうしたって?」

「平行世界の君が経験したことを、フラッシュバックしてるんじゃないか?」

「なぜ……」

「それは俺にもわからない。この島のパワーが見せるヴィジョンなのかもしれない」

「島の裏側にはモノリスもあるしな」

 茶化すように言うと、ヘルヴィムはハッとした顔をした。

「そうか。もしかしたら、君はモノリスにアクセスできる体質になったのかもしれない」

「なんだって?」

「言っただろう? あれは掲示板のようなものだって。モノリスを通して、君が平行世界で経験したことを、情報として君の脳にダウンロードしていると考えれば、辻褄が合う」

「モノリスにはそんな機能があるのか」

「ああ、あれは総合情報ツールだからな」 

「つまり、僕がこの島との波長が合ったことで、モノリスにアクセスできる体質になって、さらにモノリスから別の自分の記憶を見せられていると?」

 まるでSFそのものじゃないか。自然に乾いた笑いが出た。

「そういうことだ」

 ヘルヴィムが指を鳴らした。

「理解が早いじゃないか」

「SF好きだからね」

 僕はニヤリと笑った。

「まあ、冗談だけどな」

「何だって?」

 ヘルヴィムがいたずらっぽく笑う。

「だって、そうじゃないか。よく、こんな乱暴な説を信じるな。一応、物理学者なんだろう?」

 いちいち癇に障る男だ。彼の言葉を真に受けるのはもうやめよう。

「わかった。君の船造りは手伝うから、とにかく薬をくれ」

 再び手を出す。ヘルヴィムはもったいぶるように、手品みたいに手を振ると、茶色の瓶を取り出した。受け取って瓶を振ると、カラカラと乾いた音がした。

「これがそう?」

 市販の胃薬みたいだ。こんなものが、本当に役に立つのだろうか。

 そう考えていたのを見抜かれたのだろうか、ヘルヴィムが僕の手からヒョイと瓶を取り上げる。

「いやならいいんだぜ?」

「そんなこといってないだろう?」

 僕は慌てて取り返した。その姿を見て、ヘルヴィムはニヤリと笑う。彼に踊らされているみたいで、なんだかイライラした。

 取り返した薬を、また取り戻されないうちに帰ろうと思って立ち上がった。

「お大事に」

 彼の家から出るとき、背後からヘルヴィムの笑い声が聞こえた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ