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仏に逢うては仏を殺せ 父母に逢うては父母を殺せ  作者: よねり


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「早くここから出よう」

 そう言ってからの僕は脚が早かった。転がるように建物から出ると、トンネルまでまっすぐに走った。

「どうした、そんなに急いで」

 ヘルヴィムが笑う。「もう、いいのか?」

「あんたの目的は一体、何なんだ」

 僕は立ち止まって、息を整えた。振り返ると、建物はもう見えなくなっていたが、トンネルはまだずっと遠くに見えた。

「言っただろう。君に真実を見せることさ」

「真実って何だ?」

「君が見たものさ。僕が何を言ったところで、君自身の目で見なければ、信じられないだろう?」

「一体、ここは何なんだ。あんたらはみんな天使なのか? いや、天使じゃあない。奴らに言葉なんて通じないはずだ。それに、なんで人間のまねをしている? そうだとしたら……」

「まあ待て待て。そんなにいっぺんに質問に答えられない」

「それに……痛っ」

 まだまだ聞きたいことがあったのに、またあの頭痛だ。脳の血管に入り込んだハリガネムシが暴れているような、不自然な痛みだ。

「どうして……?」

 妻の声がした。あたりを見回すが、妻はいない。当然だ。村にいるはずなのだ。それなのにどうして声が聞こえたんだ?

「今の声、聞こえたか?」

 僕の問いに、ヘルヴィムは首を傾げた。

「それより、何か食べよう。ほら、太陽が真上にある。昼飯時ってことだ」

 空を見上げた。明らかにおかしい。太陽はさっきからずっと真上にあるじゃないか。

 まるで――。

「時間が止まっている?」

 呟くが、すぐに首を振った。そんな非現実的なことがあるはずがない。いくら天使だったとしても、時間は止められないはずだ。そんなことができるなら、人類が逃げることなどできないはずだ。深く考えないことにしよう。

 天使の村は、どの建物も同じような作りになっていて、どれが家で、どれが店なのか見分けがつかなかったが、ヘルヴィムはさも当然のように、店の扉を開けた。

「いったい、どうやって見分けているんだ?」

 尋ねたが、ヘルヴィムは笑うだけだった。彼は答えたいことしか答えてくれない。不満が積み重なっていった。

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