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仏に逢うては仏を殺せ 父母に逢うては父母を殺せ  作者: よねり


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「大丈夫か?」

 ヘルヴィムの声に顔を上げると、すでに山の中腹だった。

「一体、どういうことだ」

 眼の前には大きなトンネルが口を開けている。下から見たときには、こんな穴は見えなかった。どうも自然に出来たと言うよりは、人工的なトンネルのように見えた。どこにも光源が見えないのに、うっすらとトンネルの中が見える。

「まあ、こういうものだと思ってくれて良い」

 彼は軽くそう言うと、トンネルに足を踏み入れた。彼とはぐれたら、僕は二度と戻れなくなる予感がしたので慌てて彼について行った。デカルトを帰して正解だった。こんなわけのわからないところに、子供を連れてくるのは危ない。

 トンネルからは冷たい風が吹いてきていた。

「そっちは良くてもこっちは……」

 やっとヘルヴィムに追いついた。

「ところで、何の話をしていたんだかな」

 僕の言葉を遮って、ヘルヴィムが言う。

「モノリスの話だ」 

 ヘルヴィムはため息をついて、僕を嘲笑した。

「そうだったそうだった。まったく、君のような三流では歯が立たないのは当然か。少し君を買いかぶりすぎていたようだよ」

 いちいちイライラさせる言い方をする。

「じゃあ何だって言うんだ。そう言うからには知っているんだろう?」

 僕がそう言うと、ヘルヴィムは振り返って「ふっ」と笑った。それがまた僕の頭に血を逆流させる。

「あれはね、いわゆる伝言板さ」

 今度は僕が笑う番だった。

「その程度のことは、もう世界中の誰もが考えたさ」

「ほう、それで?」

 ヘルヴィムが僕を試すような目で見る。どうせ、三流の頭ではわからないだろうとでも言いたげだ。

「それだけさ」

 トンネルの中は、シールドマシンで掘削したような綺麗な円ではなくて、人が最低限歩ける空間を作ったというような穴だった。だから、コンクリートで補強されてもいないし、いつ崩れるかわからない。その圧迫感が、僕を余計不安にさせた。

「ははっ」

 ヘルヴィムが吹き出す。

「それじゃあただの予想だ。なんにも意味がない」

「あんただって、どうせわからないんだろう」

 僕がムキになって言い返すと、ヘルヴィムは顔の前で人差し指を振った。

「あれは天使が触れると、独自のネットワークが構築されるのさ」

「初めて聞いた説だ。あんたはどこからそんな話を聞いた?」

「聞いたんじゃあない」

 ヘルヴィムは突然足を止めて僕を振り返った。

「さあ、到着だ」

「なんだって、まだトンネルの中……」

 言い終わらないうちに、強烈な光が僕の目を突き刺した。突然、ヘルヴィムの背後にトンネルの出口が現れたのだ。トンネルの中は薄暗かったから、余計眩しく見えた。

 トンネルから出ると、エジプトのアスワンのような都市があった。

「冗談だろ……」

 僕はその場にへたりこんでしまった。

「一体、何なんだここは」

 遠くに見える大きな板は、確かにモノリスだった。

 僕はヘルヴィムを振り返った。

「あんたは……天使だったのか」

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