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男の大聖女さま!?  作者: たなか
第31章 頽堕委靡
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第785話 風俗

「『にゃんだふる』の、『ニャンダカード』だって……!?」


 聖国の獣人向けの、いわゆる()()()()お店だ。

 ゲームでは結構濁されていたけれど、老若男女客層問わずの獣人専門の高級風俗店。

 これは獣人種には強い発情期があることから、それを押さえるために獣人専門のそういったお店がこの世界では他の種族より多いらしい。

 もちろん店員は男女獣人がおり、異性も同性も対応しているが、何より店員も獣人なので発情期があり、発散しながらお仕事ができるということで、獣人達にとっては割と天職なのだそうだ。

 初級光魔法さえあれば病気の類いは防げるし、冒険者や肉体仕事などで高い戦闘能力を活かさないのなら、そういう就職先を選ぶ獣人が多いらしい。

 清楚で純真な聖女が一時期そういった風俗を禁止したことがあるようなんだけど、発情期を抑えられない獣人が増えて男女問わずに性犯罪が激増したらしく、お手上げになった聖女はやむなく『獣人は発情期があるからしょうがないよね』と、聖女側が折れることになったという歴史がある。


 歴史の話は一旦置いといて、EVER(エバー) SAINT(セイント) FANTASY(ファンタジー)では、そのオーナーとして経営するシステムがあった。

 そして『にゃんだふる』が聖貨100枚の売り上げを上げる毎に『ニャンダカード』を貰える。

 これは実質タダで『にゃんだふる』を個人で何度も利用できるブラックカードのようなものだ。


 本来であれば自分で使う以外に、獣人貴族にお金の代わりに渡してコネを作ったりできるアイテムだったが、金策ついでに『にゃんだふる』で稼いでいた僕は『ニャンダカード』を持て余していた。

 将来を誓い合った婚約者がいる以上、もう僕には必要のない代物だ。


「聖女学園の皆に迷惑をかけず、紳士的にすることを誓うのなら、留学中の間君たちにこれを貸すことにするけれど、どうする?」


 僕が縛られた獣人達と肩を組んで小声でそう提案すると、顔つきが修羅のようになっていた。


「うぉぉぉ!?あの『にゃんだふる』に入れるんですか!?」


 人数分の『ニャンダカード』を提示すると、獣人の子達は雄叫びを上げる。


「「うおおおお!?」」

「獣人の男の発情期の苦悩さえ分かって頂けるなんて……!『慈愛の聖女様』というのは、本当だったんだな……!!」

「ソラ様万歳!ソラ様万歳!!」

「ソラ様!我々、なんでもします!」


 まぁ僕、発情期の方は知らないけど男の欲の方の気持ちは少なくとも分かるしね……。


「じゃあ他の学園の子達が聖女学園の子に今日みたいな迷惑行為をしていたら、君たちが率先して助けてくれること、約束できる?」

「「「「イエッサー!」」」」


 うーん、見事な団結力……。

 獅子鬣団の団員達も、スフィンクスに言い聞かせるよりこれで掌握すれば早かったのかもしれないな……。




 その後、正式に僕とエルーちゃんとソーニャさんに彼らは謝り、清々しい顔をして部屋を去った。

 後から駆けつけた神樹国立学園の講師にはちょっとした発情期のトラブルだったと伝えておいた。


「ところでソラ様……?」

「な、何かな、エルーちゃん……?」


 い、嫌な予感が……。


「『にゃんだふる』は獣人の間では一度は入ってみたい憧れの場所として有名。『ニャンダカード』はその中でも、VIP会員。脚繁く通っている獣人貴族でも、中々持っている人はいない」


 おおう、多くを語らないソーニャさんが、『にゃんだふる』の話になると、なぜか饒舌だ。


「つまり、ソラ様はゲーム時代に脚繁く通うほどお好みの場所であると……?」

「ソラちゃん……?言い訳は、考えているかい?」


 あっ……終わった……。

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