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男の大聖女さま!?  作者: たなか
第31章 頽堕委靡
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閑話210 抜け道

(ひいらぎ)(りん)視点】

「はぁっ、はぁっ……」


 まさかワープ陣を使って迷宮を出入りして、グミをドロップするボス部屋を周回するだなんて……。

 それでボスが無限湧きすることに気付いた天先輩も天先輩だけれど、だからといってこんなステータス底上げ方法を考える天先輩が恐ろしい。

 いや、それよりもおかしいのは一緒に訓練してくれているこの人達。


 神流ちゃんとソーニャちゃんはなんかオリハルコンの武器持ってボスをワンパンしてるし、魔物と戦うことに抵抗が無さすぎる。

 セフィーちゃんとエルーちゃんは当たり前のように無詠唱で魔法放ってるし、セフィーちゃんは「まだ6個同時詠唱しかできません……」なんて言ってるけれども、そもそもあのゲームで無詠唱も同時詠唱もなかったのに、一体どうなってるの……!?


 そして一番おかしいのは、エルーちゃんだ。

 両手指で10個同時無詠唱魔法を使っているのも意味分からないのに、魔法一つ一つの威力が桁違いに大きすぎる。

 おまけに殴るだけでフロアボスを倒しているし……。

 多分この子、魔王より強いと思う……。


 ただワープ陣で迷宮の外とボス部屋を行ったり来たりしているだけなのに、バテているのは私だけ。


「お辛いのは最初だけですよ、リン様」


 まるで甘言みたいなことを言われるも、とてもそうは思えなかった。


「うふふ……そう、ソラ様に比べれば、私は優しい方です……」


 エルーちゃん、なんか怖い……。


「そう思ってるのは、エルーだけ」

「エルーシア様も大分お義母様に毒されてますからね」

「そ、そんなっ……!?」


 毒されてるって……。

 でもゲームの抜け道使って強くなっているみたいで、最短といえば最短なんだと思う。

 レベル100である以上、これ以上レベルでステータスを上げることはできないから、グミによる上限上昇しかない。

 だからといって全部999にする必要はあるのかはよく分からないけれど、もしかするとそれでも敵わないのが天先輩なのかもしれない。


「ただ正直……」

「グミ生活には飽きましたね……」

「小さい食べ物でよかったことには良かったんだけど」

「これがケーキや肉だったら大変でしたでしょうね」


 確かにそんなのだったら、飽きるとか以前に太る。


「お」

「どうかしましたか?」

「できるように、なった」

「そう、みたいですね……」

「おめでとう御座います、ソーニャさん、神流様!」

「ちょっと、やってみる」

「私も……」

「「――■■――」」


 何やら呪文のようなものを唱えた二人はみるみると大きくなっていき――!?

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