表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
男の大聖女さま!?  作者: たなか
第31章 頽堕委靡
994/1282

第783話 風情

「な、なんだてめぇ!?って……いででででっ!」


 顔が見えないからかボクに強気でいたが、肩を掴む力を強めると獣人の男の子は苦しみ出す。


光の束縛(シャイニングバインド)

「ぐっ……」


 よく見ると獣人男子複数人で女の子を囲っていたので、ひとまず全員を拘束する。


「てめぇ、こんな往来で魔法ぶっぱなすなんて、どういうつもりだ?」


 やっぱりこの姿だと威厳ないんだな、僕って。

 フリー素材ってくらいには世の中に浸透していると思ったけど、もしかして目のクマのせいで僕と認識できてないのかな?

 今の僕、そんなにひどい顔してる……?


 威厳を借りるならハープちゃんとシルヴィどっちでもいいけど、シルヴィは雷魔法の練度上げで酷使しちゃってるから、ここはハープちゃんかな。


「眷属憑依、教皇龍……『我の大事な婚約者に手を掛けようとするなど、お前達、死にたいのか……?』」

「まさか、ソラ様!?」


 仲良くなる前のシェリーとセフィーから虎の威を借る狐って揶揄されたことがあったけど、本当にその通りだよね。

 僕は龍や天使の威を借らねば、なんの威厳のないただの人。


「ひ、ひぃっ!?」

「ソラ様だってぇ!?」

「『涼花、風紀委員と警備隊、それから生徒指導を呼んでこい』」

「承知した。こんな時に騒ぎを起こすなんてな……君たちソレイユの神樹国立学園生には心底がっかりだよ」


 涼花さんが去ると、僕は先程の男子達を睨み付けた。


「『さて、我が婚約者のエルーシアには『守護の指輪』を持たせていた。これは身につけた者に一定の攻撃が来たときに弾き返すバリアを張ってくれる魔道具だ』」


 女性に囲まれて生活することからそういう気持ちになってしまうのは、分からないでもない。


「『つまりお前らのうちの誰かが我が婚約者に無体を働こうとした証だ。先ほどから記録魔法を取っていることから、エルーの『守護の指輪』が発動したことは状況証拠となろう』」


 でも、だからといって同意もない相手に対してすることは許されることではない。

 学園でこんなことが起きているなら、僕はエルーちゃんと離れ離れになるべきではなかった。


「『この事実だけでもお前らを牢に入れるくらい訳ないが、さて、どう料理してくれようか……?』」

「違っ……!おいらはこいつを……」

「『()()()?』」

「ひ、ひぃっ……!?」

「お待ちください、ソラ様、ハープ様。少々誤解が御座います」

「『エルー。たとえ誤解であろうと、お前を襲ったという事実は変わらない』」

「私はなんとも御座いませんし、私達が()()()()()()に遅れを取ることなどありません」

「なんだとっ!?」

「そもそも、大聖女であるソラ様に対して『てめぇ』などと言うような()()()()()に慈悲など御座いません」


 ああ、エルーちゃんもキレてるのね……。

 南の国(ソレイユ)は冒険者の国。

 だからソレイユの学園は冒険者育成学園とも呼ばれており、神樹国立学園はその最たる学園だ。

 具体的には冒険者ランクでクラスや成績が決まる部分も一部あるらしい。


 エルーちゃんの冒険者嫌いに拍車が掛かっているようだ。

 もとはといえば僕に対して不遜な物言いをするからだったと思うけど、「冒険者風情」とは主語がでかくなっているような気がする。


「二人とも、落ち着いて。冒険者にもいい人はいる」

「『ソーニャ……』」

「ソーニャさん……」


 長年冒険者をしているだけはあって、冷静だ。


「安心して。狙われたのは私。エルーは庇っただけ」

「『は……!?』」


 もっと安心できなくなったんだけど……!?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ