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男の大聖女さま!?  作者: たなか
第31章 頽堕委靡
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第770話 屈服

「そう、それでソーニャちゃん達もいないのね。でも、いくら聖女院の関係者とはいえ、外泊許可は直前じゃなくて事前に取って欲しいわ」

「エルーちゃんが、すみません……。でも一度言ったら聞かなくて……」

「そういうとこ、ソラ様に似てきたわね……」


 そ、そうかな……?




「それで、今宵は私が抱き枕代わりというわけか」

「そ、そういうつもりじゃないんですけど……」


 聖女ソラであることを公表してから、学園と朱雀寮の間をいつも送り迎えをしてくれている涼花さん。

 卒業した今でも彼女の人気は高く、周りからは黄色い声が飛び交う程だ。


 それはさておき、寮に戻った時に涼花さんはそのまま寮の僕の部屋に泊まる時がある。

 堂々と不純異性交遊であることに対して、唯一の大人(常識人)であるフローリアさんは止めなくていいのか聞いたことがあるけれど、「聖女様に法律は意味ないし、エルーちゃんや獣人の子達も夜ベッド揺れてるし……今更でしょう?」と言われてしまった。


 エルーちゃん、朱雀寮の全員にバレていて、最早朱雀寮の夜の名物になりつつありそう……。

 よく「男は()」なんて言葉があるけれど、エルーちゃんや獣人の子達の発情って、僕達男が抱えているものよりもずっと強いんだろうか?

 獣が変異したものが魔物、その魔物を統率するのが魔人なのだとしたら、えっち()()というのは案外的を射ていたのかもしれない。


「確かに私に触れていなければエルーちゃんも発情しないのは確かなんですけど……でも、なんだか拒絶されているみたいで寂しくて……」

「昼の間は会えるのだろう?エルー君もソラ様の心の浄化のことは忘れていないだろうから、日中は手を繋いでくれると思うが……」

「でもそれじゃあ、誰が発情してしまったエルーちゃんを鎮めるんですか?」

「ソラ様……もしかしてエルー君に対しては、結構嫉妬深いのか?」

「いや、エルーちゃんだけ我慢して辛い思いしているのに、僕だけおいしい思いはできないですよ……」

「ああ、そういうことか……。ま、それなら問題ないんじゃないか……?」

「何を根拠に……」

「エルー君、『平日に焦らすだけ焦らして休日に溜まったものを吐き出してしまったら、一体どうなってしまうんでしょうか?』って言いながらゾクゾクしていたよ……」


 うん、えっち魔人は今日も平常運転だ。

 むしろその発想が怖いよ。


「今日は私で我慢してほしい」

「そんな、我慢なんて……。涼花さんほど美人で格好いい人、前世には一人もいませんでしたよ」

「不意討ちはやめてくれ。そんなに襲ってほしいのかい?」


 涼花さんはシャツのボタンを緩めると、青いレースのブラが苦しさから解放されたように弾んでいた。

 その勢いの良さに思わず反応してしまった僕に、涼花さんは目を細めて首筋から耳にキスの雨を降らせながら避妊魔道具を僕の腰に巻いてきた。


「エルーちゃんも涼花さんも、どうして初めては主導権を握ろうとするんです……?」

「ふっ、エルー君と同じことを考えていたなんて、とても嬉しいことを教えてくれるじゃないか」


 普通、そこは嫉妬するところでしょ。

 涼花さん曰く、「私が世界で好きなものの順位をつけるならソラ様が一番、シエラ君が二番、エルー君が三番」なんだそうだ。


「僕だって、たまには僕の方からしてあげたいのに……」

「そんなこと言うから、私達に食べられてしまうんだよ」

「……受け属性が高すぎるって、言いたいんですか?」

「いや、普段戦闘では他者を屈服してばかりのソラ様が、伽ではされるがままだっていうのは、とても素敵なシチュエーションだろう?」

「……納得できないんですけど」

「ふっ、ワガママな子だ」


 耳もとで僕がぞくぞくっとするように低く澄んだ天然のASMRを速達で届けられて、僕はびくんと全身がピンと張りつめてしまう。


「ゃんっ……!このままっ、屈服させるんですかっ……?」

「姫様の願いは叶えるのが王子の役目だよ。夜は長い。する方も、されるほうも、どちらも堪能しようじゃないか」

「んぁぁっ!」

「私の初めてを、貰って。お姫様」


 なんだか、僕の方が二度目の童貞を奪われたような気分になったのだった……。

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