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男の大聖女さま!?  作者: たなか
第31章 頽堕委靡
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第769話 御預

 翌日、聖徒会室に呼び出したのは柊さんと聖女学園に在籍中の僕の婚約者達。

 エルーちゃん、ソーニャさん、セフィー、神流ちゃんの四人だ。


「まず、私と柊さんを含め婚約者の四名にも武術大会、そして魔術大会のそれぞれへの参加を辞退していただきます」

「そ、そんな……!?」

「残念」

「楽しみにしていたところ申し訳ないですが、この中で誰か一人でも参加してしまえば、その人が優勝するのは間違いないですからね」


 柊さんのステータスまでは知らないけれど、聖女だからレベルは100だろうし、多少はゲーム時代にグミで上がってることだろう。

 その上、聖女だけが使うことを許されている最上級魔法があるのだから、チートもいいところだ。


「リン様は分かりますが、私達まで出場を禁止する理由は?」

「婚約者の四人にはグミ集めを強要しているでしょう?最大レベルで更にグミでドーピングしてるとなると、異能者バトルになっちゃうから……。流石に反則でしょう?」


 むしろよく今まで許容されていたものだ。


「確かにスポーツマンシップに則ってやると言いながら裏で筋力増強剤(ドーピング)射っているようなもの、ですよね……」

「スポーツマンシップ……?」

「筋力増強剤とは?」


 少なくとも柊さんの理解は得られたみたいだけど……柊さん、その説明だと僕以外には伝わらないと思うよ……。


 でも今までグミ集めの迷宮周回なんて概念を人々や聖女院の人達に広めた聖女はいなかったらしい。

 グミがドロップする迷宮は基本的に聖女かSランク冒険者くらいしか立ち入りの許されていない場所ばかりで、一般生徒はグミなんて集められないから、大会でできる最大限の準備はレベル100と練度の上昇程度だ。

 装飾品も武器も学園指定の武器だからね。


「そんなわけで、私も含めて皆さんには参加禁止です。貴族へのアピールの場に将来の決まっている人達を出すわけにもいきませんからね」

「忍とリリエラ様は大丈夫なのでしょうか?」

「忍ちゃんは今まで通り手加減して参加辞退だろうから良いかな。リリエラさんも……私の弟子というわけじゃないし、いいんじゃないかな?」


 彼女を育てたのはあくまで神獣・白虎だからね。


「そうしたら魔術大会の優勝はリリエラ様で決まりじゃないですか……」

「お義母様、勝手にお決めになると、リリエラ様にまた怒られますよ?」

「それは……でも華は必要だもの。本当に出るかは彼女に任せるけどね」

「まあ私も、リリエラ様が優勝する姿は見てみたいですけれどね」


 確かに露骨な八百長のように感じるかもしれないけど、これでもリリエラさん以外の八百長は未然に防ごうとしているのだから許してほしい。

 それにリリエラさんも白虎からの(しご)きがあったとはいえ、必ず優勝できるわけではないだろうし。


「で、話はもうひとつありまして。参加を辞退する代わりに、学園長がせっかく同じ学園生の聖女同士の模擬戦を行いたいと申してまして。多分柊さんにも話は行ってると思いますが……」

「は、はい……聞きました。ただ私と天先輩では多分すぐ終わっちゃうと思うので……」

「はい。流石に私にも眷属がいる以上、フェアじゃないことは分かってます。ですから、ここにいる皆さん対私でやりましょう」

「五対一の戦いということですか……」


 ステータスチートであることは最早認めるしかない。


「やるからにはお互い本気でやりましょう」

「なるほど、それでしたら、今日から二週間の間、修行と作戦会議をしなければなりませんね」

「まぁ、そうなるね」

「でしたら本日から私達は放課後聖女院に行きましょう」

「えっ、エルーちゃん……!?」

「打倒ソラ様ですから。お互いに偵察はなしですよ?」

「そ、そんな……!?二週間、エルーちゃんと離れ離れ……!?」

「学園でお会いできるではないですか」

「でも……その、よ、夜の方はどうするの……?」

「よっ……!?」


 柊さんの前でする話ではない気はするけれど、背に腹はかえられない。


「私の方は後宮組でなんとかしますから。ソラ様は他の婚約者の処女()貰って上げてください」

「そ、天先輩……もう童貞じゃないんですね……」

「ちょっ……!?」


 同郷のガチ後輩の前で暴露されるなんて、どんな辱しめだよ……!

 もういっそ殺して……。

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