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男の大聖女さま!?  作者: たなか
第31章 頽堕委靡
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第763話 避妊

「おそよう、ソラ様」


 目が覚めると、辺りはもう暗くなっていた。

 ここは後宮で何故か寝巻きを着ていたのけれど、エルーちゃんが着替えさせてくれたのかな?


「ふぁあっ……ごめんね。クラフト研究室行く約束だったのに、寝ちゃって……」

「いえ、予定を把握していなかったこちらに落ち度がありますから。まさかこんなにご負担のあるご予定でしたとは……」

聖国(ハインリヒ)の『聖寮院』は早めに建てたかったんだ。魔王が近いうちに復活するとして、狙うのは必ず聖国だから」

「なるほど、そういうご事情が……」


 まあ他にも理由はあるけど、聖国を急いで建てた主だった理由はそれだ。


「ところでクラフト研究室の用事って、何だったの?」

「はぁ、早く寝たいから、用件済ませていいかい?」


 ああ、エレノア副室長が説明してくれるのか。

 というかいつも夜更かしがデフォルトなあのエレノアさんが「早く寝たい」だなんて、これもシンシアさんのお陰だろうか?


「エレノアさん、今日は()()()()()()?」

「……()()は、()()()()()()()()()()()()()()()()?」

「……?そんな予定はありませんが」

「ソ、ソラ様……?」

「いや、エルーちゃんとしないって意味じゃないから……」


 エルーちゃんが発情するのは僕のせいなのに、それを僕が解消しないのはただの鬼畜だろう。


「そうじゃなくて、今日はソーニャさんと三人だと思ってただけで……」

「ソラ様……」

「エレノアお嬢様、もっと婚約者を立てないと、破棄されてしまいますよ」

「恋愛経験ゼロのシンシアに言われてもなぁ……」

「エレノアさん、親しき仲にも礼儀ありですよ」


 表情ひとつ変えないシンシアさんも凄いけど、だからといって言っていいことと悪いことがある。


「ソラ様、お嬢様が悪態をついているのは、拗ねていらっしゃるからですよ」

「ちょっ……!?シンシア!」

「僕、何か悪いことしましたか?」

「……まあいいさ。それよりソラ君に良いお知らせだ」

「?」

「予てより本番を避けていただろう?それが必要なくなったんだよ」

「は……?」


 いきなり、何の話……?


「婚約者の10人には既に見せたが、100パーセント避妊できる避妊魔道具が完成した」

「!?」

「これは偶然の産物でね。魔道具で卵子と精子を可逆にできるのなら、それを使って避妊も行えるのではないかと思ってね」

「ま、まさか……」


 エレノアさんは革製の細い紐にオリハルコンが一つ取り付けられたような魔道具を僕に見せてくる。


「これを腰に巻くと、排卵を検知し、その卵子をすぐさまただの無害な栄養水に変換できる」


 僕達が避妊のため本番を避けていることは婚約者の皆にとって周知の事実だけど、その為にエレノアさんが動いてくれていたのは盲点だった。


「へぇ、凄いですn……ん?」

「ソラ様、素敵ではございませんか!」

「これで、お義母様に順に……愛して貰えますね!」


 皆が画期的だとか称賛しているけれど、なんだかおかしい。


「いやちょっと待ってください!どうして女性に付ける用なんですか?」

「ん?」

「排卵の正確なタイミングなんて分かるわけないんですから、その魔道具を常に付けてないといけなくなるじゃないですかっ!」


 お風呂とかでたまたま外したタイミングで排卵してしまっていたら意味ないじゃん。

 何が100パーセントだよ、ただの詐欺じゃないか!


「ちっ……気付いたか」


 し、舌打ちした!?


「なっ……!?エレノアさん……!僕は皆さんとの将来を真剣に考えて……!」

「あともう少しでしたのに……」

「残念」

「どうして皆、詐欺師(エレノアさん)の肩を持つんですかっ!?」

「ソラ君。ボク達はね、たとえ子ができなくても、ソラ君には本当の子種を注いでほしいと思っているんだよ」


 ドキッとすることを言ってくるので、下半身が反応してしまいそうになる。


「み、皆さんの気持ちは嬉しいです……。でも、僕はエルーちゃんとした約束は守るつもりですし、それに婚約者の皆さんにも……」


 婚約者に順位など付けたくはないけれど、僕が一番に愛しているのはエルーちゃんだ。


「はぁ……そう言うと思って、男性用の栄養水変換器も作ったんだよ。それがこれだ」

「は……初めから、それを出してくださいよぉっ!!」

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