閑話203 二番目
【モニカ視点】
朝の目覚まし。
これは毎日の業務の中でも一、二を争う大変にゃ業務。
「んぅぅ……びーふすとろがのふ……」
「……何の夢見てんのにゃ……」
昨日の夕餉……?
雪のように白い髪がしなしなににゃって、こんにゃに大きにゃベッドにゃのに、寝相は悪く身体が落ちそう……というか手は落ちてる。
凛々しい女王様も、このときばかりはだらしがにゃくて尊敬できにゃい。
「でも、そこも可愛いのよにゃ」
「ほらモニカ、見とれてないでやるわよ!」
「せーのっ!」
四人がかりで女王様の手足を持ち上げる。
この儀式を毎朝やるから、北の国の王宮メイドは足腰がよく鍛えられるのよね。
寒さに負けにゃい体作りが王宮メイドの嗜みにゃのよ。
「ん……おはよう」
いつものそっけにゃい女王様だけれども、最近はより元気がにゃい気がする。
髪を整えている間、女王様は椅子に座ってぼーーっとお外を眺めていた。
「エレノア王女とシンシア様がいにゃくにゃったのがそんにゃに効いてるんですか?」
「エレノアはともかく、シンシアを失ったのは痛手なんだがな……。アレはお前と違って、戦闘もできるメイドだったからな……」
「ここより聖女院の方が100倍給料いいから、仕方にゃいにゃ。それに序列一位には逆らえにゃい」
「まあエレノアも貰ってくれたし、あれくらいでその恩返しになるのなら確かに仕方のないことだ」
「もう、女王様は身内のことににゃるとすぐ毒を吐くの、やめた方がいいにゃ」
「なんだ、お前だってうるさいのがいなくなって、もの静かでいいだろう?」
「静かすぎるんでしょう?にゃんだかんだで、ほんとは寂しい癖にぃ~」
「やめろこの駄メイド!お前は頬擦りする前に、まず言葉遣いを直せ!そんなだからお前も姉のケイリーに先を越されるんだ」
「にゃっ……!?いくら女王様でも、言って良いことと悪いことがあるにゃ!」
お姉ちゃんが樹下お義兄ちゃんを捕まえられたのはただの棚ぼた。
「そもそも今の王宮は人員が足りにゃくて結婚どころじゃにゃいのにゃ……」
「それを言われると痛いが、これから良くしていくから待っててくれ」
「そんにゃ都合のいい話……」
その時、化粧室の外から靴の音がした。
「おはようございます、お母様、もういらしていますよ。早く行きましょう」
「なんだと!それを早く言え!」
「早く言ったけど、起きにゃかったのは女王様にゃ……」
「「……」」
女王様はこの通り朝がよわよわにゃので、普段貴族の来客予定は午後にしか入れにゃいのだけれど、相手が聖女院の人達とにゃると、そんにゃ北の国の常識は通用しにゃい。
「マヤ殿」
「陛下、お久しぶりです」
「マヤ殿、あなたはもうエドウィン侯爵家ではなく聖女院伝道師長であろう。私に敬語など不要だ」
「陛下、聖女様が威光を示すのであって、聖女院の人間が聖女様の威を借りてはなりませんよ」
「真面目だな。流石は聖女学園で次席で卒業しただけはある」
「魔法科でいけば一位なのですから、その言い方は失礼ですよ、お母様!」
「構いませんよ、お義母様」
「……は?」
突然の内容に固まる中、悠々と紅茶をお飲みになるマヤ様。
「エレノア様とは、○姉妹になるのですよ、私」
「なっ……!?マヤ殿まで手篭めにされていたとは……」
「あの人、夜は可愛い可愛いケモノですからね」
「……私も後少し若ければ……」
「お母様、何便乗しようとしているのですか!?」
それはどちらかというとソラ様とエレノアお嬢様が可哀想……。
「それより、婚約者からの命、お話してよろしいですか?」
「あ、ああ……。『聖寮院』の件であろう?」
「話が早くて助かります。この度、『聖寮院』北国支部の管理人を務めさせていただくこととなりました」
「そうか。エドウィン家も喜ぶことだろう」
「そして他国と比べ比較的情勢が落ち着いているので、聖国に続き二番目に進めることとなりました」
「そんな唐突に……まだ建設もできていないというのに」
「敷地はすでに用意してますから、建設を進めて貰う必要があります。別荘はソラ様が建てるそうですから、孤児院と一般開放部分についての建設をお願いします」
「土地買収と建設費用だけで聖貨2000枚を使うなど、馬鹿げている……」
「最終的には一万枚使うそうですよ。これで北の国が潤いますね」
「は、ははは……」
女王様、乾いた笑しかでてこにゃい人形ににゃってしまったにゃ……。




