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男の大聖女さま!?  作者: たなか
第31章 頽堕委靡
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第759話 触覚

「そういえば一時的に『奈落』のリーダーにされていましたね。管理はカリシュナさん達と聖女院の代理人さん達に任せていたのですっかり忘れていました……」


 クランリーダーのカリシュナさんを倒したせいで冒険者クラン『奈落』のクランリーダーという余計な称号を押し付けられたのだけれど、聖女院が管理することと引き換えにカリシュナさんに戻して貰っていたはずだった。

 でも地下闘技場に居た『奈落』メンバーは僕がカリシュナさんを倒したことは知っているし、カリシュナさん本人もそれを何故か自慢げに話すんだそうだ。

 『奈落』では実力こそ正義。

 だから強い存在には敬意を払うという鉄の掟のようなものがある。


 だからもうリーダーじゃないというのにこうしてVIP待遇をしてくれるのだろう。


「姉貴はカリシュナ様を武器なしの素手で昏倒させたから伝説なんすよ!」

「今日は厚くもてなしさせてくだせぇ!」


 僕なんかが世紀末のような人達にこんなにへりくだられる姿なんて違和感しか感じないよ……。


「いや、もてなしはいいですから……」

「何言ってんすか!カリシュナ様が待ってんすから!」

「待ってる……?」


 なんか急に嫌な予感がしてきた。


「さ、中へどうぞっす」

「うわ……」


 案内人の二人が扉を開くと、かつての地下闘技場が姿を表した。


「待っていたぞ大聖女様ァアァアアアッ!」


 今にも吹き飛びそうな熱風がこちらに飛んでくる。


<只今より大聖女・奏天様対『奈落』クランリーダー・カリシュナの試合を執り行います。掛け金は一口につき銀貨一枚を座席横にある穴にお入れください!>


「ああ、もてなしって、そういう……」

「ソラ様、私の娘が欲しいそうだな!」

「その主張、ほとんどすべてが語弊なんですけど……」

「私の娘は『奈落』所属。だから奪いたければ『奈落』のルールに従って貰おう!」


 いやだから、奪うんじゃなくてただ採用面接しに来ただけなんだってば。


<お待たせいたしました。『奈落』現リーダーカリシュナ様対大聖女ソラ様、試合開始!>


 実況がゴングを鳴らすと、雷を纏ったミスリル拳がまっすぐ飛んでくる。


「眷属憑依――『接地(アース)』」


 シルヴィに憑依した僕は雷の拳を左手で受け止め、雷を地面に流す。

 雷属性を極めたシルヴィとなら、この程度の付与魔法素手で受け流せる。


「『カリシュナ。今の貴様に必要なのは娘とのコミュニケーションだ』」

「くそっ……動……かねぇ……!」


 この一年でステータスを大幅に上げたようだけれど、今の僕はカンストを越えてしまってるからね……。


「『頭を冷やせ、閃光拳(シャイニングフィスト)!』」


 一発右ストレートをかましただけでぶっ飛び、対角の壁に埋まってしまった。


<き、決まったーーッ!一撃ィッ!これは快挙です!>


 一体なんの快挙なんだよ。


「『茶番はいいから、(アヴリル)を出せ』」


 ……眷属憑依、性格が憑依した相手に引き寄せられるから、真面目な話するときに使うとニュアンス変わっちゃって誤解が起きるかも。

 しかもシルヴィ、誤解解く気ないでしょ。


<……あれに何を言っても、どうせ聞かんでしょう>

<ま、それはそうなんだけどさ……>


 脳筋を地で行く彼女(カリシュナさん)にとって、戦いよりも優先されることはないからね。

 でも説明がめんどくさいからって諦められると、困るのは全部体の主である僕なんだよ……。


<す、すみません……>

<帰ったらお仕置きね>

<……は、はいっ!>


 喜んでるんじゃないよ。


 憑依を解除したタイミングで、後ろからバサバサと音がして、僕は誰かに抱き締められた。

 柔らかい感覚が背中にふにゅりとしたけれど、この柔らかさに見覚え……いや触り覚えがない。


「大聖女サマーーっ!」

「アヴリルさんっ!?」

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