第755話 最低
翌朝。
「……最低だ」
僕は最低だ。
「んぅっ……ソーセージっ……そんなに入らないよぉっ……」
「……」
……昨夜の夢でも見ているのだろうか?
可愛すぎて真ん丸な頬をつんつんしてしまうと、小さなお手々で僕の人差し指をにぎにぎしてくる。
僕のマリちゃん先生が可愛すぎる。
いや、そんなこと言ってる場合じゃない。
婚約者も二桁になってしまい、もはや慣例化してしまっているが、増えたときに必ずしていることがある。
それは二人きりで初夜をともにすることだ。
二回目以降はエルーちゃんが性欲を我慢できないのもあり複数人でするけれど、「さすがに初めては二人でないと皆様が報われません」とエルーちゃんに言われてしまい、それが慣例となったのだ。
そしてマリちゃん先生とも初夜は行った。
もちろん初夜といっても人種族と小人族で本番なんてことをしたらマリちゃん先生のカラダがとてもじゃないけれど耐えられないので、お互いに満足させるだけだ。
でも小人族の小さなからだでとても一生懸命に奉仕してくれ、その無事僕はロリコンである証を出してしまった。
これが、一つ目の最低な出来事だ。
そして二つ目の最低な出来事が……
「おはようございます、ソラ様。マリエッタ先生とは……うまくいったみたいですね」
「エルーちゃん、おはよ」
ベッドサイドに移動してエルーちゃんと寝起きの挨拶のキスをする。
「ところでソラ様……その、お聞きしていいか分からないのですが……それは一体……」
「あっ……」
それとは、シーツのシミだ。
「ええと、これはその……指でしたら……破れてしまったといいますか……」
完全に奥さんに誤魔化す夫の図をしてしまったが、要するに、僕がマリちゃん先生の初めてを意図せず奪ってしまったのだ。
今までの婚約者は人種族か獣人種で、種族は違えど僕たちと同じサイズだったから、その、えっちなことをする時に何も知識の不都合が起きなかった。
しかし小人族とのえっちは僕も知識なんてもちろんあるわけないし、その上マリちゃん先生も初めてだったらしく、ほとんど知識がなかった。
一応身体が小さいだけで基本的にはカラダの構造は同じらしいので、エルーちゃん達と同じように行ったのだけれど、そこで不都合が起きた。
さすがに指ならば大丈夫だろうとたかをくくっていたところ、何も大丈夫じゃなかったのだ。
シーツのシミは魔法で落とせるけど、初めての経験までをも戻すのは流石に失礼だろう。
光魔法で初めてをなかったことにできなくはないけれど、そうやって何度も女の子を痛め付ける趣味は僕にはない。
「ご、ごめんなさい……初めては、エルーちゃんって決めていたのに……!」
「誤解を招く言い方なので確認させていただきますが、童貞を失われたわけではないのですよね?」
「うん……」
童貞を失わず処女を奪ったって意味不明だけれど、結果的にそんなことが起こってしまった。
「まあ、それは……仕方がないのではないでしょうか?」
「エルーちゃぁん……!」
僕の周りには天使が居すぎて困る。
聖人君子もびっくりの淑女……いやもうエルーちゃんは聖女を名乗っていいレベルだよ。
「お、大袈裟です……。それより本日はお休みですが、ソラ様、少しお時間ございますか?」
「うん。ちょっと用事あるけど、その後でいいなら。どうしたの?」
「では後程クラフト研究室までお付き合いいただけますか?」




