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男の大聖女さま!?  作者: たなか
第31章 頽堕委靡
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第738話 贔屓

 いくらクラフト研究室の奥の仮眠室とはいえうるさくしてしまったせいで何故か研究員の皆さんに聞かれていたらしく、暖かい目で見られながら拍手で迎えられた。


 その日はエレノアさんを連れて僕の部屋へ帰ると、待っていたエルーちゃんと三人で乱れた。

 初めてのことにされるがままのエレノアさんは、年上ながら可愛かった。




「――キュアとヒール、もっとかけなくて大丈夫?」

「だ、大丈夫ですから……。それに私も水魔法で和らげる方法はいくつか知っていますから。ソラ様は心配しすぎです」

「僕には分からない痛みだけど、人によって辛いって聞くし……。涼花さんはあまり辛くないみたいだけど」

「ああ。私は普通……いや、他の子よりは少し軽い方かもしれない」

「羨ましいです」

「良いことばかりでもないさ。子を成す時に苦労するかもしれないしね」


 気が早いよ……。


「とりあえず夏休みなんだから、今日は休んで」

「そんな、たかが生理で休むなんて……」

「貧血にもなりやすいんだから、こんなときくらい甘えなさい!ハープちゃん!」

「よかろう!我が抜け出さぬよう監視してやる!光魔法も使えるしな!」

「もう……過保護なんですから……」

「涼花さんはエレノアさんを叩き起こしてもらえる?」


 鞘は抜かないままエレノアさんの体を刀で掬い上げるようにして毛布ごと浮かび上がらせる。


「相変わらず朝弱いんだから、エレノアさん」

「おあよ……」


 裸でいたことで、昨日のこと思い出したらしく顔を赤くする。


「さ、挨拶しに行きますよ」




「こんにちは、アレクシアさん」

「本日はどのようなご用件で……」

「いや、アレクシアお義母さんって呼んだ方が良いですか?」

「まさか……!?」

「はい。エレノアさんを私の婚約者にさせてください」

「勿論でございます!エレノア、良かったな!」

「やめてくれ、恥ずかしい……」

「しかしそうなると、アイヴィが帰ってきたら大騒ぎになりそうですね……」

「そういえば、今はどちらに?」

「異国の市政を学びに聖国に滞在中です。今頃女王達とお茶でもしているのでしょう」


 そういえば、今度サンドラさん達には謝らないとな……。


「ええと、この報告はついでで、別荘の件なんですけど」

「土地の候補でしょうか?」

「それは後で、ですね。今は人材募集の件です。最終選考は聖女院で各国順に行いますが、恐らくあまりにも募集が多いでしょうから、1000人くらいまでの絞り込みは各国にお任せしてよろしいでしょうか?勿論、人件費・経費はお渡しする聖貨をお使いいただいて結構です」

「畏まりました。お節介かもしれませんが、各別荘に管理者はつけておいた方がよろしいかと」

「勿論考えてはいます。断られるかもしれませんが、お願いしてみたい人はいますから」

「……ちなみに、フィストリア支部の分はお聞きしても?」

「……確約していないので確かなことは言えませんが、土地の候補にエドウィン侯爵領を入れておいてもらえませんか?あそこは孤児院もあるし、個人的に支援しておきたいんです」

「ソラ君、それはあまりにも身内贔屓な上に、我々王族が得をしてしまうだろうに……」

「いいじゃないですか。別に聖女を政治利用するのはダメでも、聖女の方から参政するのは問題ないんですから。私の聖女資本金なんですから、私の好きにするのくらい、問題ないでしょう?」


 それに多少ワガママを無理矢理通すくらいでないと、正直お金使いきれないんだよ……。

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