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男の大聖女さま!?  作者: たなか
第31章 頽堕委靡
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第734話 技術

「例えば毎日の食事に困っている人達のために、毎日シェフが給食……つまり炊き出しを行い、それをチケット一枚で食べられるようにします。その他にも別荘内に公衆浴場を作り、チケット一枚で入浴できるようにすれば、人々の清潔さもある程度保たれて病気が減ることでしょう。それに炊き出しの手伝いや食材の買い出し、大量の料理の手伝い、それに公衆浴場の運営のアルバイトや清掃などでまたチケットを与えるようにもできるでしょう」

「なるほど……それを実現するためには今より多くの聖女院各室の人材を募集する必要がございますね」

「はい。聖女院でお仕事をしながら、今まで培ってきた知識や技術を教える場を設ける。もちろん教育手当ては資本金から別途出しますので、聖女院の皆さんも今よりもっと稼ぐ手段が取れます」


 聖女院で働く人達も、今よりもっと稼いで趣味に費やしたり、実家に仕送りをしたりともっと自由にできる。

 それにたとえばメイドさんが講師をして稼いだお金で、今度は逆に休日に料理の講義を受けたり、魔法の講義を受けたりということもできるようになる。

 最低限の護身術を身に付けるのに役立てたり、趣味の知識を広げるのに使ったり。

 聖女院で働く人達の働き方、生活のしかたにも幅が出来てくる。


「今まで、聖女院で働く人達が直接民と交流する機会というのはございませんでした。ソラ様は、その機会をお作りになられるということなのですね」

「言いたい放題言いましたが、それくらいの施設作りと人を雇うお金と維持費を込めれば流石に私の聖女資本金、なくならないですかね……?」


 珍しく考え込むルークさん。

 まあ、流石にすぐに答えは出ないだろうと思っていたら、すぐに帰ってきた。


「そう、ですね。大方なくなる認識ですが、いくら高品質の施設を用意したとしても全体の二割は残るかと」

「えっ……この短時間で計算したんですか……!?」

「各室の人件費は毎年目を通していますから、二倍に増やした際の概算は出せます」


 むしろ今回聖女院の人員を今の二倍に増やしても僕の聖女資本金は圧倒的に上回るのね……。

 いや、それにしてもそれを全て覚えていられて、頭の中で暗算して概算出せるんだから、もう会計の鬼だよルークさんは。


「私も早くここに到達しなければ……」

「いや、いったいリリエラさんは何を目指してるんですか……」


 もはや天才を越えて変態だよ。

 この二人、やはり似た者同士な気がする。


「しかし、これでも余りましたか……」

「ああ、余ったなら丁度いいです。サツキさんの情報伝達推進計画に必要な資金になるはずですから」

「ほう、具体的なお話をお願いできますか?」

「はい。まずは各国に電気の普及。つまり変電所と電線を人の住む各地に配備します。そして電波の普及ですね。インターネットを普及させるには電波塔を一定の間隔で建てて電波を届くようにする必要があります。まずはこれらの前世の技術を魔法と組み合わせて最適な電気と電波の普及器具の研究をクラフト研究室にしていただきます」

「その後、できた器具や電線を配置する作業をソラ様の聖女資本金で公共事業として行い、人を雇って一時的な働き口とするのですね」

「確かに初めは一時的ではありますが、電線の場合どうしても雨風やこちらには魔物もいますから、断線は避けられません。そうなったときに再度疎通を行う技術者が各国に必要になってくると思います」


 所謂電気工事士などの技術職がこれからは増えてくる。

 その次は安全なネットワークの環境整備をしたり、PCなどのハードウェアやアプリなどのソフトウェアを開発したり、やることも技術職も沢山必要になってくる。


「今はクラフト研究室単体ですが、今から他の技術職としての募集もかけておいた方がいいでしょうね」

「なるほど、承知致しました」

「私はクラフト研究室に話を通してきますね」




 ――そうして僕の聖女資本金の残り全額を投資して行うことになった世界電子化計画。


「エレノアさん、この計画、手伝っていただけませんか?」

「……無理だね」


 親友から返ってきた言葉は、なんと否だった。

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