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男の大聖女さま!?  作者: たなか
第31章 頽堕委靡
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第731話 小言

「おかえりなさいませ、ソラ様」

「なんかひどい目に遭いました……」

「サツキ様、元気なお方ですからね」


 まああの元気さにサクラさんも救われたんだろうね。


「話の途中で抜けちゃって、すみません……。それで、悪い話ってなんですか?」

「ええ。ソラ様に、大事なお話がございます」


 ルークさんのトーンが落ちたため、背筋を伸ばしてきちんと聞こうとする。


「ソラ様、いい加減お金をお使いください」

「…………は?」




「――ですから、お一人の聖女様が大量のお金を所持していると、市場が回りません。その上、本来使い果たすべき金額として割り当てられている聖女院の一年間の聖女資本金。ソラ様は二年連続で資本金の三割しか使っておりません。このままではソラ様の聖女資本金が増える一方。このままでは、民にお金がくどくどくどくど……」


 この件に関しては今までも散々お小言を言われて来ていたものの、ついにルークさんの我慢の限界が来てしまったらしい。

 まぁ、今まで強くいえなかったのは僕が序列一位だったからだろうけど……。

 まさかお金を使わないことを怒られるとは思わなかった。


「ソラ様、以前『これを機にもっと散財してください』と申し上げたでしょう?」

「で、でも……学生でそんな時間も余裕もなかったですし……。それに、散財しようにも、欲しいものがないんですよ!アイテムボックスに全アイテム入ってますし……」


 ぬいぐるみとか服とか、ゲームの時にアイテムとして扱われないもの以外は全て持っている。

 それにほぼカンストまで持っているので、買って補充する必要もなければ、いざ使おうとしても使いきれないほどある。

 だからといって気軽に売ったり譲渡すると市場が壊れると言われるし、それに悪用される可能性もある。


 その上女性服は好みとかないし支給されるものをそのまま着るし、この世界に高級ぬいぐるみなんてないし、僕の趣味なんてさほどお金がかからないのだ。


「そうだ!今年は柊さんとサツキさんが増えたでしょう?その分の聖女資本金は出ていない。つまり、私が彼女達に渡して……」

「構いませんが、ここ二年間のソラ様の資本金の使用となった三割は、サクラ様や真桜様への譲渡と研究室への寄付のみ。その上今年はお二方とも断られておりますし、聖女様間のやり取りでも譲渡の上限はございます。研究室と二人の聖女様が受け入れたとしても、今年は一割もいかないかと」


 どうしてそんなにお金が割り振られるのさ……!


「そもそも、私の分だけ増えていくんですから、使いきれないのは仕方ないじゃないですかぁっ!人助けをやめろと言うんですかっ!?」

「……人助けをしたければ、このお金を全て使いきってからなさってください」

「ぐっ……」


 毎回この同情を誘う手で逃げていたけれど、それももう通用しなくなってしまった……。

 いや、僕だって好きで人助けばかりしてるわけじゃなくて、結果的に人助けになっていたことが多いだけだもん。


「ええと、ちなみに具体的にどれくらい余ってるんですか?」

「こちらです」


 うーん、ゼロがいっぱい……。

 もう、数える気にもなれない。


「流石に我々もただお願いをしているばかりでは、一向に減らないことを存じております。そこでソラ様の浪費となるように、いくつかご提案を用意して参りました」

「まずはこちらです。ソラ様、後宮をお作りになりませんか?」

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