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男の大聖女さま!?  作者: たなか
第31章 頽堕委靡
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第729話 篭絡

「おっぱい触らせてあげるから、サイン頂戴!」

「そんなことしなくていいですから……」

「そんな……!?ソラきゅんはおっぱい星人だから、これしたら絶対くれるって真桜ちゃん言ってたのに……」

「大嘘つきじゃないですか……」

「嘘ではないような……」

「エルーちゃん?」


 えっち魔人って言ってたの根に持ってる……?


「だ、だって……私の胸も、執拗に……」


 あ、嫉妬とかじゃないのね……。

 いや、婚約者のは別に嫌いなワケじゃないけど、星人ってほどじゃ……。


「そんな、サインもらえないの……?」

「いや、サインくらいタダであげますから……」

「ほんと!」

「色紙あれば書きますよ」

「ご用意いたします」

「シル君、ごめんね。それにしても、真桜ちゃんにしてやられましたね……。意気投合したんですか?」

「あの子、ネットミームの権化みたいな子ね。話してて面白かったわ。桜ちゃんはほとんど分からなかったみたいだけど」


 ネットミームの権化て。

 この人も面白い例えする人だな……。


「サクラさん、ネット音痴というより、機械音痴なくらいですからね。昔からそうだったんですか?」

「そうねぇ……あの子、昔は運動派だったからね」

「今と比べると想像できませんね……」

「想像できないのは、ソラきゅんと話しているこの状況よ!いなくなったと思っていたら、この世界に来ていたのね!」

「はい。エリス様のお陰でこの世界で聖女をやることに……」

「男の子なのに聖女なのね。流石はソラきゅんだわ!」


 褒めてるの、それ?


「色紙お持ちしました」

「なに書いてもいいわ。ソラきゅんが書いたってことが大事だからね」

「書く代わりに、条件があります」

「なぁに?」

「その『きゅん』、あまり好きじゃないんでやめてもらえますか?いやな思い出を思い出すので……」

「あっ……」


 僕がそう言うと、唐突にぶわぁっとサツキさんの目から涙が流れた。


「ぐすっ、そ、そうよね……!無銭で家族にやらされていたんだものね……!ご、ごめんなさい……っ!」

「私はいいですけれど、聖女はみんな少なからず前世にあまりいい思い出がないので、優しくしてあげてくださいね」

「うん、ソラ……君のことならなんでも聞いちゃう!」


 違う意味で危ない人だよ、この人。

 ショタにならなんでもホイホイ付いていきそうだな、本当に。


「はい、書きましたよ」

「ありがとぉぉっー!ついでにおっぱい揉む?」

「いえ、さすがに婚約者がいますので、お断りします」

「は……?ソラ君に!?」

「お初にお目にかかります、サツキ様。ソラ様専属メイドであり婚約者のエルーシアと申します」

「さっきのメイド美少女!?」

「あと3方と一柱いらっしゃいますよ」

「王族か何か……?って、一柱ってまさか……?」

「はい。昨日エリス様と婚約しました」

「昨日!?ちょっ、さっきから情報量過多すぎるって……」

「だ、大丈夫ですか?」


 僕とシル君が同時に倒れそうになるサツキさんを支える。


「ひえぇ!イエス……ショタ……ノータッチ……!」


 もろにタッチしてますけど……。


「サツキ様も立候補なさいますか?」

「えっ、でも流石に◯姉妹はちょっと……」


 うん、普通はこういう感情なのよ。

 感覚が麻痺してるけど、婚約者同士がキスする程仲良しなのは、普通じゃないのよ……。


「そもそも、まだお互いのこと知らないじゃないですか。って、そんなことより!シル君を専属執事にしたいとのことでしたが……」

「ソラ君はシル君って呼んでるのね!素敵……!あ、ええと、そうなの……!ダメ……かな?」


 この人、いちいち一言多いな。


「うーん……シル君はやってみたい?」

「私は、やってみようと思います」

「……どうやってシル君を篭絡したんですか?」

「あぁん、ひどい!もう信用ゼロ……?」

「今までの言動を思い返してください」

「大丈夫。お互いに通じ合う事ができたんだもんねー!」

「……まぁ」


 本当に弱味かなんか握られてない?


「ま、元々シル君の人生だからあまり口は出すつもりはないよ。サツキさんがあまりにも酷い人なら家族として止めていたけどね……」

「やった♪シル君、よろしくね!」

「……はい」


 なんか不服そうだけど、ほんとに篭絡したんじゃないよね……?

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