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男の大聖女さま!?  作者: たなか
第31章 頽堕委靡
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閑話195 同人誌

下野(しもの)(さつき)視点】

「サツキ様はお疲れのようですから、後日またお尋ねいたします。シルク様、サツキ様をお部屋にご案内を」

「畏まりました」


 なんかすごい豪華なお食事に、温泉まで用意されているなんて……。


「なんかいい匂いするし、凄いわここ……」

「失礼します」

「は……え……シルク君!?」


 腰にタオルだけを巻いた、ちょっぴり鍛えられた筋肉。

 でもまだ幼さがどこか残る体躯。

 ああ、この体、きゅんきゅんしちゃう……!


「どうしてここに……」

「お背中、お流しいたします」

「ちょっ、駄目よ!まだ15の男の子がそんなことしちゃ!」

「こちらの世界では許されていることでございます。それに、サツキ様は私のような若い男がお好きなのでは?」

「そ、そうだけど……あなたからしたら私なんてオバサンみたいな年でしょう?」

「いえ、流石にお姉さんくらいかと思いますが……」

「調子いいことばかり言うんだから……。いいわ、あなたも仕事みたいだし。でも背中だけよ。前はいいから」


 前までやってもらったら、もうソープと同じになってしまう。

 というか、絶対私が耐えられない……!




 体と髪を洗い、二人でお湯に浸かる。


「ねぇ、シルク君はソラきゅんのことが好きなんでしょ?」

「はい」

「じゃあなんで私なんかのお世話してるの?」

「……それまで私はソラ様のことを女性だと信じておりました。ですからたまたまソラ様に拾われて愛情をいただいているうちに、いつしかお慕いするようになりました。ですが、ちょうどソラ様と一緒にこうして温泉に浸かっている時に、ソラ様本人から言われたんです」


 なんと、そのような息子の薔薇園(息子息子パラダイス)が……。


「『僕は君と同じ男だから、だから答えられない。でも、家族であり、男友達になることはできる』と。今やソラ様が女性愛者であることは、周知の事実ですから……」

「そ、そんなことが……」

「『でも聖女院には僕と年の近い男の子がほとんどいないから、シル君みたいな人がいて、助かっていると』。ですからこの恋は一つの叶わぬ初恋だった。それでいいと思ったんです」

「……そっか」


 現実は甘くなく、薔薇も滅多に咲くものではない。

 たとえ女の子以上に女の子している可愛い男の子と、男の子が居たとしても、双方の合意がなければ現実はお付き合いにならない。


「でも、ちょっと羨ましいな……」

「羨ましい、ですか?」

「私はいやらしく胸を見られるばかりでさ、好きな人も出来なかったから、初恋というものもろくになかったもの。二次元とか漁って生きてきたし、仕事とそれで一生を終えるくらいの意気込みでいたから、そうやって青春してるのは素直に羨ましいなって」

「……」


 私は、遠くの景色を眺めているシルク君を思わず胸に抱き寄せた。


「シルク君の将来はまだまだこれからなんだから、焦らなくていいんだよ」

「……サツキ様。私は別に男性愛者というわけではないので、そのようなことをされると……」

「わ、わああっ!?ごめんねぇっ!!」


 わ、顔真っ赤で可愛いっ!?

 って違う!イエスショタ、ノータッチでしょうがああ私ぃっ!?


「……あのさ、シルク君、今もまだソラ様のこと好き?」

「……はい。でも、私はきっと、ソラ様のあの『女性らしさ』に惚れたのだと思います。それに、初恋は叶わないものだとも聞きますから……」

「ならさ、それを創作で晴らすのも手だよ」

「創作……で、ございますか?」

「そ!創作ならシルク君とソラきゅんが相思相愛でも、好きなことも、してもらいたいことも、なんでもできるでしょ?」

「ですが、そんなものを見られでもしたら……」

「見られなきゃいーのよ!頭のなかで考えるだけでもいいんだし。そうだわ!おねーさんが、創作の楽しさを教えてあげる!」


 これでも同人イベントに出すくらいには小説書いていたんだから!

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