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男の大聖女さま!?  作者: たなか
第31章 頽堕委靡
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第727話 融合

「『そういえば天庭で私やシルヴィとする分には避妊は必要ないわよ♥️こちらでコントロールできるもの♪』」

「それ、僕の方からはコントロールできないんですよね……?」

「『こ、婚約者を疑うの……?』」

「エリス様は前もって知らせない前科がありますからね。嘘をついてわざと避妊せずに子供作っていてもおかしくないくらいには、あなたは信用ないんですよ」

「『ひ、ひどっ……!?』主、そんなこと言って本当に既成事実を作って隠すおつもりではないですか……。話さなければばれないと思っているかもしれませんが、私は旦那様の眷属。主よりも旦那様優先ですから、私は遠慮なく旦那様に告げ口いたしますので。『も、もっとひどい……!?』」


 酷いのはどっちだよ、本当に……。


「こちとら初めてはエルーちゃんって決めてるんですから、エルーちゃんとするまでは誰ともしませんからね!」

「『拗らせ童貞はこれだから……』」

「数万年拗らせた処女には言われたくないですよ……」

「『なぁっ……!?そもそも、据え膳なのだから卒業まで待たずに食べてしまえばいいのよ!』」

「学園に通いながら妊娠なんてしたら、エルーちゃんの評判に関わるんです!」

「『ならソラ君がふたなりだって公表すれば言い話でしょう?実際、一時的になら真実にもできるんだし』」

「あなたは、僕にいったいどれだけの業を背負わせるつもりですか……!」


 本来僕に女の子の要素は皆無なのに、なんでずっと女の子の要素を背負って歩かないといけないんだ……。

 いや、どこぞの魔人風に例えるなら今の僕は「多分そう・部分的にそう」なっちゃったんだけど。


「そもそも、天庭って聖女ならいつでも出入りできるんですよ!そんなところでえっちなことしてた時に、他の聖女が入ってきたらどうするんですかっ!!」


 流石にそんな公共施設のど真ん中で青◯するようなこと、できるわけないじゃないか。


「『そ、それは……し、敷居くらい、作るわよ……?』」

「それじゃあ声丸聞こえじゃないですかっ!!」


 たとえこの世界の人には暖かい目で見られたとしても、元の世界の常識を知っている聖女達に青◯してるところを見られたら、社会的に終わるんだよ。


「……あ、逃げました」


 シルヴィが光らなくなった。


「あの女神……今度お説教してやります……!」

「いえ、旦那様。ここで簡単に言うことを聞かせる画期的な方法がございますよ」

「え?」

「天庭に赴かず、私と夜の伽をしなければいいのです。『なんてこと考えるのよこの外道っ!』あら?この中でまだ婚約者になられてからご寵愛をいただけていないのは、どこのどなたでしたでしょうね?『ゆ、許してソラ君……!もう、意地悪言わない!お説教ちゃんと聞くから……!』」


 主従の立場、逆転してる……。




 翌日、冒険者ギルドに向かうと、人が少しだけ増えていた。


「あ、ソラ様方!お待ちしておりました!」

「結果はどうなりましたか?」

「沿岸でクラーケンを倒していた方々については、討伐ランクSのクラーケンを単独討伐できたソーニャさんやその他親衛隊の皆さんはSランク称号を。そうでない方々にもクラーケン討伐に貢献の記録がある方々はAランクとさせていただきました」

「良かったですね、ソーニャさん!」

「ソラ様の、お陰」

「ケイリー殿、やったな!」

「藤十郎殿には、まだまだ劣るがな……」

「それで、海龍リヴァイアサンの討伐貢献ですが、リヴァイアサンはその個体の成長度合いによってランクが分かれます。今回はエクストラランクの超巨大個体だったため、それを討伐したあなた方の功績は、Sランク任務を100回こなすより優れた功績であるとギルド会議によって決定されました」

「つ、つまり……」

「エルーシア様、橘涼花様、あなた方はエクストラランクとして任命されました」

「わぁ、おめでとう!二人とも!」

「ソ、ソラ様……?これはそんな気安く受け入れられるものではないよ……?」

「エクストラランクになったことがあるのは、今まで聖女様だけですから……」

「何言ってるの……?そもそもあなた達はエクストラランクだった私より強かったんだから、二人にそのランクは適正だよ」

「憑依のある今、流石にソラ様にはもう敵わないですけれどね」

「話はまだですよ、ソラ様……」


 コルデリアさんががっしりと僕の肩を掴んだ。

 う、槍の使い手のSランク冒険者だけあって、結構力強いな……。


「ソラ様、過去に討伐した魔物や魔族の討伐、報告しませんでしたね?」

「え?だって、ギルドに頼まれた依頼でないものですし、別に報告する義務も……。それに、国全土まとめて浄化したのに、どんな魔物が巻き添えにされていたかなんて逐一全部報告するの、めんどくさ……」


 梛の国の全土浄化とか、ソレイユでも同じようなことしたし、そんなのいちいち報告していたら、キリがない。

 それに僕はもうESランクなんだから、これ以上上がる余地もないし、報告をしなかったとしてもとくに下がることもない。


「今回!魔水晶にて討伐記録を改めて開示していただいたものを全支部のギルド会議に提出したところ、ソラ様のために、エクストラランクのさらに上の称号を作ることが決定しました!」

「ええっ!?」

「あなた様はこれよりE(エクストラ)SSランク『乙女の秘密』となりました」


 不名誉が名を馳せる……。


「最後にひとつ」

「ま、まだあるんですか!?」

「海龍リヴァイアサンとドラゴンゾンビを討伐した英雄であるあなた達を称えるため、パーティー名をお決めください」

「ええっ!?そんなの、称えなくとも……」

「駄目です!このままでは『龍殺しの聖なる乙女達』とか可愛くない名前で呼ばれてしまいますよ!」


 いや、いいじゃんそれで!

 案外格好いいし。


「でしたら、『百合と乙女の慈愛』というのはどうでしょう?」

「ちょっ……!?エルーちゃん!?」

「いいじゃないか!」

「決まりですね!」

「皆さん!セイクラッドの英雄ESSランク冒険者パーティー『百合と乙女の慈愛』を称えてください!」

「よっ、世界一!」


 勝手に決めないで!

 何で不名誉(百合の花)と|不名誉(乙女の秘密)不名誉(慈愛の聖女)で三体融合しちゃったのさ!

 出来上がった得体の知れない不名誉(アルティメット不名誉)は、処分する(墓地に送る)ことも出来なくなってしまったじゃないかっ!

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