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男の大聖女さま!?  作者: たなか
第31章 頽堕委靡
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第715話 千鳥

「凄まじいな……これが眷属憑依の力……」

「『エルー!玄武!ティス!』」

「はい!「「氷河(グレイシア)!」」」


 三人で分担して割った海が元に戻らないように、周りの海水を凍らせていく。


「『よし、これで海龍を陸地に分断できたな。涼花!エルー達が壁を硬め切るまで、エルー達に攻撃が当たらないようにせよ!』」


 海の中とはいえ、さっきので大分ダメージは与えられただろう。


「了解!『超重力』!」


 海龍をまるごと重力で沈めるほどの範囲は出来なかったが、蛇のように長い巨躯のうち、顔の部分を限定的に地に這わせたことで、視線をエルーちゃん達に向かせずこちらに集中させることができたようだ。


「ギャアアアアアウ!」


 突然のことに、海龍は釣り上げられたウナギのようにビタンビタンとうねうねしながら無差別に水魔法陣を発生させて、野太い冷気の光線のようなものを四方八方に放ってくる。


「――無刀・夢幻の舞、魔壊――」


 無属性魔法しか使えないものにしか使えない神獣・青龍の愛刀、無属性刀最高ランクの無刀『夢幻』の型の数は、名前の通り無限。

 それは夢幻(ゆめまぼろし)のように、刀が全てを叶えると言われているからだ。


 それは文字通り魔法陣や魔法を切ることも容易く、言うなれば切る動作さえ間に合えば彼女に魔法は通用しない。

 少しだけど怯んでいる今のうちに、僕は畳み掛けるべきだな。


「『憑依解除!』シルヴィアさん、眷属憑依!」

「はいっ!」


 シルヴィアさんの魂が僕と結び付き、みるみると背丈が伸び、天使のごとき白い羽が生えてくる。




 名前:奏天

 種族:人種族 性別:女

 ジョブ:聖女 LV.200/100(+100)

 体力:1749/999(+750)魔力:1749/999(+750)

 攻撃:999(+750)

 防御:999(+750)

 知力:999(+750)

 魔防:999(+750)

 器用:999(+750)

 俊敏:999(+750)


 スキル

  光属性魔法[極]、無属性魔法[極]、雷属性魔法[極]、鑑定[極]


 加護

  女神エリスの加護


 状態

  眷属憑依 (シルヴィア)




 ん?

 なんか勝手に表示されたんだけど……ああ、シルヴィアさんは鑑定スキルが使えるから、それが引き継がれているのか。

 それにしても全ステータス750って、シルヴィアさんバランス良いな。

 火力重視ならハープちゃん、バランス重視ならシルヴィアさんで使い分けられるのが便利だ。


「『旦那様と、私が、合体……んんんっ!?はぁ、はぁ、ちょっ、こんな時に変な理由で発情するなっ!はぁ、はぁ、は、はいすみません……!』」


 シルヴィアさん、真面目だと思っていたのに、こんなえっちな人だったの……!?

 ともかく今は、早くこの新しい憑依に慣れなきゃ……。


<シルヴィアさんの一番得意な属性は、雷でしたっけ?>

<あっ……頭の中で旦那様の甘いお声が……っ!>

<大事な話だから、早く答えて!>

<は、はい!一番得意なのが雷です!光も使えますが、主の支援がなければまともに使えず……。他の属性も主がいれば出せますが……>


 つまり、憑依で継承した僕は、ステータスにある通り一時的に雷属性が使えるようになったはず。

 となれば、やることはひとつ!


「『海龍リヴァイアサン!貴様に絶望の戦術を見せてやろう!』」


 アイテムボックスの肥やしになっていた雷属性刀最高ランクの雷刀『千鳥』を三つ取り出した。

 そのうち一つを腰に巻いて縛り付け、残り二つの千鳥の鞘を抜く。


「『――雷気解放――』」


 全身に帯びる雷が僕の神経や脳を刺激して最高の状態を作り出してくれる。

 やがて帯びた雷は千鳥の刀身にも伝わって帯びる。

 前世では一度も使わなかった……もとい属性適正がなく使えなかった雷を帯びた刀を、前世では思い付かなかった三刀流という贅沢な使い方で披露できることに、僕は喜びを感じていた。


「『参る!』」

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