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男の大聖女さま!?  作者: たなか
第31章 頽堕委靡
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第699話 報復

「ティファニー妃は『三日後』と仰いましたが、どうせエドナ妃を貶めるなどの準備をして私の前で言い逃れを出来なくするなどの策略を組んでいるのだとおもいます」

「つまり、三日後に何かを企んでいると?」

「そんな下準備、最初からさせなければいいんです。王宮を取り囲んで計画を全部丸裸にして、悉く丸潰ししてやります……」

「ソラ様、ガチギレ」

「こ、怖いです……」


 


「ソラ様、丁度本日から三日間、王宮主催のパーティがあるようです」

「そのためセイクラッドの貴族は先日から参加者全員王城に宿泊をしているようです」

「ありがとう、忍ちゃん、神流ちゃん。決行日は明日。相手が動く前に片を付けます」

「具体的には、どのように?」

「今から『私と婚約者に毒を盛り、禁忌である魅了魔法を放った者が、セイクラッド王族と貴族の中にいる』という捜索状を聖女院に書いてもらいます。聖印付きで、ばらまけるほど大量に」


 僕たちが犯人の証拠を持っていることは置いといて、ここまでは事実である。

 僕としては向こうが勝手に用意してくれた罪状を有効活用させてもらうだけだ。


「まず書状の一枚を使い、これで全セイクラッド貴族の身柄を拘束して動けなくします。これには私の親衛隊のほかに、真桜ちゃんの親衛隊全員をお借りして総員で事にあたります」


 サクラさんの親衛隊まで借りるのは、聖女院の守りが手薄になるので止めておく。

 正直僕たちの隊だけでも化け物ステータス達の集団だから貴族相手に勝てるわけもないけれど、誰一人逃がさないために協力してもらう。


「貴族が屋敷に戻れないうちに、私が用意した9つのワープ陣で参加している貴族全員の屋敷と王城に政務官と聖影のペアを送ります」

「書状を理由に拘束し徹底的に捜索し、セイクラッド貴族の金の動きを丸裸にするのか……」

「真っ当に貴族をしていれば、なにも出てきませんから、これまで通り貴族を続けていられますよ。別にこれで証拠がでなくても、もうティファニー妃とそれを操る裏の番人の身柄は私が握っていますから、これは単なるいやがらせと余罪の炙り出しです」

「おお、こわ……」

「ソラ様は怒らせてはいけないということは分かったな……」

「婚約者に手を出した報いですわ。ですが、こんなにお怒りになられているお姉様が心配ですわ……」


 今の僕が言う必要はないと思っているが、僕が怒っているのは婚約者に手を出されたからだけではない。

 それだけならタコ殴りくらいで許してあげるつもりだった。

 後二つの理由が、僕の理性を悉く壊してくれた。


 これは、文字通り報復だ。


「奥方様」

「……シルヴィアさんがいるってことは、やはりこの件……()()()が絡んでいるのですか?」

「いえ。まだ不明ですが、少なくとも西の国(セイクラッド)に魔族の存在を検知しました。もしかするとこれは囮である可能性もございます」

「どのみちこれを解決して王家に聞くのが最優先でしょう。他に変な動きは、今のところ()しかない。だから後手に回っても民に影響なく救う手段はいくらでもあります。なのでシルヴィアさんは海を見張っていてください」

「……静かにお怒りになられている時の奥方様は、途轍もなく冴えていらっしゃいますね……。まるで私達全ての未来が見えているようです」

「……買い被りすぎです。ただゲームの知識があるだけです。それにアール王子とエドナ妃を貶めた張本人は元々大方分かっています。初めて会った時に理解してしまいましたから。それに証拠もありますしね。だから調べなくても捕まえはできるんです」


 でもそれだけでは周りが納得しないし、何より本人が納得しないだろう。


「私も()()しています。これは()()()()()()辛いことになるでしょうから」

「奥方様、まさかそこまで()()()で……」

「ええ。薄々気付いていたんですよ。彼とは()()()()であることは。だからこそ初めに会ったときから私は手を差し伸べることに決めたんです」

「そんな……!?こ……こんな時に、寄り添うことしか出来ない私をお許しください」

「……全てが終わって落ち着いたら、今度、思いっきり泣かせてください。約束ですよ?」

「この命に代えましても」


 一々大げさなんだから、シルヴィアさんは。

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