第689話 軟派
「ま、漫画化……!?」
「はい。レコン様には、私の小説の漫画版の絵をお描きになられる予定でして……」
「彼はただの画家兼漫画家であって、それ以上のことはなにもございません!」
「つまり猥談というのは、ネームの内容を確認するためのものですか?」
「左様でございます。誤解を招くような言い方をしてしまい申し訳ございませんでした」
「いえ、私も早とちりしてしまいすみません……」
「億万一にもそのようなことはなり得ませんし、このライラ・クロースがさせませんから、ご安心くださいませ」
「私にはお義母様がいらっしゃれば、それで十分ですわ!」
まぁ、シェリーの書いている小説の内容的に、猥談になってしまうのは仕方がないよね。
年頃の男の子と猥談しているのはちょっと気にはなるけど、別に僕だって男だし、自由恋愛くらいさせてあげたい。
まぁ、変な男には引っ掛かってほしくないけれど、それをいってしまえば僕なんて、変な男の筆頭だろう。
何より当人、あまりシェリーに興味があるわけじゃなさそうだしね。
「なんという曲線美……いや脚線美!胸、お尻、足!是非あなたのデッサンをさせていただきたく……」
「いや、私は既にソラ様のものだからね。ソラ様に聞いてくれたまえ」
「そこを何とか……!」
なんか口調変わってるし。
でも涼花さんが困っている姿を見るのは珍しい気がする。
「レコン君?私の婚約者に、何してるのかな……?」
「ソ、ソラ様……」
確かに涼花さんは胸もお尻も大きく誰が見ても美人であることには間違いないけれど、それでセクハラまがいのことをされるのは流石にいただけない。
独占欲って程ではないけれど、涼花さんだって困っていた様子だし、これくらいは言わせてほしい。
「お義母様、漫画の登場人物であるお歴々にお会いすることは、漫画を書き始めるうえで必要な事ですから……」
「い、いいですけど、デッサンで皆さんの動きを制限するのはよしてくださいよ」
「映像魔法で記録しておくので大丈夫ですよ」
それはそれでアレだけど、逆に言えばこの思い出が映像に残るのだと思えば、まぁいいかと思えてしまう。
「ま、まぁそれなら……。涼花さんは大丈夫?」
「あ、ああ……別に見られて困るようなことはしないつもりだよ」
「ふふ、これは涼花お義母様と呼ぶ日も近そうですね」
「シェリル君……」
「いやですわ涼花様。シェリーと呼んでください」
「でしたら私も、セフィーと……」
「構わないよ。シェリー、セフィー」
「さて、ではまずは水着を探しましょう」
「じゃあ、私はここで……」
別行動なので待っていると言おうとした時、手を引っ張られる。
「なにを仰います!ソラ様もお水着を選びますよ!ご・い・っ・しょ・に!」
「ちょっ……!?エルーちゃん!?」
「さあ、行こう」
「涼花さんまで……!?」
捕まった宇宙人のように涼花さんとエルーちゃんに挟まれて両腕を引っかけられて連れていかれてしまう。
胸が押し当てられていて両手に花ではあるんだけど、そうも言っていられない!
ステータスカンスト二人の腕組みは、力が強くて逃げられない。
ちょっ、ほんとに僕、女性水着は着ないってば!!!!




