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男の大聖女さま!?  作者: たなか
第31章 頽堕委靡
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第675話 上手

 メルヴィナさんを追い出し、久しぶりに男装に着替えて下の部屋へ。


「ソラ君!」

「お義父さん!」

「おかえり」

「ただいま!お義母さんも」

「ええ、おかえりなさい。それに、婚約おめでとう」


 着替えてる間にメルヴィナさんが言ったのかな?


「ありがとう。改めて紹介するね。僕の専属メイドのエルーシアちゃん」

「ソラお兄様、エルーシア様おめでとうございますわ!」

「ルージュちゃん、ありがと」

「ありがとうございます、ルージュ様」

「私のことはルージュとお呼びください、エルーお姉さま」

「……!」


 こう、なんというかゴールデンレトリバーみたいな感じあるよね、ルージュちゃんって。

 両手でわしゃわしゃしたくなる愛らしさというか。


「ルージュちゃん」

「はいっ、エルーお姉さま!」

「今日はその報告かい?」

「はい。それと、結納に参加してほしくて……僕の家族として」

「……!」

「いいのかい?」

「うん。だ、だめ……かな?」

「ソラ様のおねだり……!!!!永久保存版……」


 横で変なこと言ってる変態は無視する。


「もちろん、嬉しいよ」

「うふふ、楽しみが増えましたね、あなた」


 よ、よかった……。




 翌日、聖女院に戻って今度はサクラさん達に報告しにいく途中のこと。


「あれ、珍しい組み合わせですね」

「ごきげんよう、ソラ様」

「天先輩、ごきげんよう」


 涼花さんと柊さん、それに東子ちゃんが話していた。


「噂の話に進展があったようだね」

「はい。エルーちゃんと婚約をしました」

「えっ……」

「おめでとう。君達はいつかそうなるだろうと思っていたよ」

「おめでとうございます!ソラ様、エルーシア様!」

「お、おめでとう、ございます……」

「皆様、ありがとうございます」

「ありがとうございます。涼花さん……その」

「気にしなくていい。もう終わったことだ。あなたが幸せなら、それでいい」

「いや……」

「まだ諦めるのは早いです!」

「えっ」


 エルーちゃんが珍しく大きな声でそう言った。


「皆さん、結納式、絶対に来てくださいっ!!」


 僕のお嫁さんは、とても強かだ。




「ごきげんよう、カーラ様。ソラ様をお連れいたしました」

「はい……あら、ようこそいらっしゃいませ。サクラ様、ソラ様がいらっしゃいました」

「通して」

「どうぞ」

「失礼します」

「ライマン公爵から聞いたわ。私の代わりに行ってくれたみたいで助かったわ。ありがとう」

「いえ、たまたま偶然あそこにいただけですから」

「ふぅん、偶然、ねぇ……」

「……やっぱり、ライマン公爵から聞いたんじゃないですか」

「何よ、こういうのは()()が言うべきじゃない?」


 都合のいいときだけ男扱いしないでよ。


「エルーちゃんと婚約しました」

「そう。おめでとう、二人とも」

「おーいおいおいおい!おーいおいおいおい!」


 真桜ちゃんのその明らかに泣いていない効果音はなんなの……?


「僕たち私たちのアイドルが、結婚なんて……!」

「卒業式の掛け合い(コール&レスポンス)風にいわないでください」


 最早僕よりセリーヌちゃんの方がツッコミ上手だと思う。

 本当に頭いいなあの子、あれで中等部一年って驚きだよ。


「ソラが欲しくば、ワシを倒してからにしてもらおう……!」

「なんで真桜ちゃんが父親面してるの……?」

「ど、どうしましょう?ソラ様……」

「そもそも真桜ちゃんじゃエルーちゃんに勝てないでしょ」

「まさかソラちゃん、それを見越してエルーをしごいたというの……?」

「言い方よ……」

「どうせ夜の方も棒をしごい……あいた!」

「下世話なのは私たちで我慢しなさい。はしたない」

「だってもう我慢しないって、ソラちゃんと約束したんだもん……」


 んだもんと小さい頬膨らましている真桜ちゃんが可愛すぎて困る。

 でも話している内容がませすぎていて、到底褒められたものではない。


「一応男女なんだから、下世話なのは我慢してよ……」

「だって……推しの結婚なんて、自分に恋人がいないか将来誰とも結婚しないと誓わない限り、応援なんてできないもんでしょ。くぅっ……このっ、幸せ者めっ!」


 セリーヌちゃんに担がれながら、小さなお手々でシャドーボクシングをする真桜ちゃん。


「はいっ、幸せ者でございます!」

「……イヤミ?」

「あんたねぇ、いい加減にしなさいよ」

「いいえ。ソラ様は私一人の器で受け入れられるほどの御方ではございませんから。この幸せは()()()()()()でございます」

「よく言った!」


 えっ?

 何急に手のひら返して。


「言質取ったかんね!」

「はぁ、そういうこと?」

「ああ、なるほど。真桜ちゃんはそう言わせたかったんですか。でもそれなら、エルーちゃんの方が一枚上手でしたね」

「えっ……どういう……」

<――告げる――>

「「「「!?」」」」


 タイミング悪く挟まれたのは、シルヴィアさんの声だ。

 ついにその時が来たらしい。


<預言の(とき)が来た。第103代聖女、下野(しもの)(さつき)様が御光臨なされる。人の子らよ、来るべきに備えよ――>


 サツキさん、サクラさんの知り合いって聞いていたし、驚くだろうなと思っていたら――

 カップが落ちて、パリンと割れた。


「えっ……サツキお姉ちゃん……!?」

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