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男の大聖女さま!?  作者: たなか
第31章 頽堕委靡
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第659話 舌舐

「次の……聖女候補……」


 マコトさん(真桜ちゃんの前世)の時みたいにまた死なないように回避をしているのだそうだ。


「また、僕には内緒ですか……?」


 つまり、僕に関連のある……。


「く、くぅ……。そんな子犬のような可愛らしい上目遣いを……!い、いえっ!だ、旦那様には今回は内緒ではないのです。恐らくご存じない方ですし」

「そうなんですね。えと、名前をお聞きしても?」

下野皐(しものさつき)様。サクラ様のお知り合いの方です」


 ……確かに、僕の知らない人のようだ。

 でも僕の方からは知らなくても、向こうは僕のこと知ってる可能性があるんだよね。

 僕の悪名……というか黒歴史(デジタルタトゥー)、前世から消えてなくなってほしい。

 サクラさんの知り合いだから、ワンチャンサクラさんみたく知らない可能性もあるけど……。


「なるほど、つまり今回は『サクラさんには秘密に』ってことですよね?」

「え、ええ……」

「どうしたんですか?」

「いえ、あの……旦那様?どうしてお離れにならないのでしょうか?」


 僕はずっとシルヴィアさんの上で組み敷いたままだった。


「だって……この傷が、痛そうで……。あ、そうだ!これなら治りますか!?」


 神薬を取り出すと、シルヴィアさんは慌て出した。


「そ、それを使ってはなりませんッ!」

「でも、これなら治るんですよね?」

「確かに神薬は主の血……いえ神力の塊ですので治りはしますが、それは貴重ですのでかすり傷程度で使うのは絶対に駄目です!」

「そ、そうですよね……」


 僕も既にいくつか使っているし、在庫があまりないのは確かだ。


「こ、こんなもの、舐めておけば治ります!ですから旦那様はお気になさらず……」


 でも、これは僕のせいだし……。


「あの、旦那様……?」

「……じゃあ、せめて代わりに僕が舐めます」

「は……?え、ちょっと!?」

「んれろっ」

「ひゃ、ひゃぁんっ!?ちょっ!?だ、だんなさまぁんっ!?」


 ちょろちょろと腕の傷口に舌を這わせると、それだけでびくびくびくと何度も震えるシルヴィアさん。

 ……なんだかいけないことをしている気分になってくる。


「んれーーっ」

「んっ……ひゃあぁっ!駄目ですッ……!!」


 声、もうちょっとなんとかなりませんかね……。


「ソラちゃん、大丈夫……?」

「「あっ……」」


 扉の前に居たのは、真桜ちゃんとサクラさん、それにセリーヌちゃんだった。


「……修羅場?」

「いや、どっちかというと濡れ場のような……」

授業計画(シラバス)という見方も……」


 セリーヌちゃんまで、やかましいよ。

 何の話……?

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