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男の大聖女さま!?  作者: たなか
第31章 頽堕委靡
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第628話 節操

「「はふぅ……」」


 体を洗い終わり、向かい合って湯船に浸かる僕たち。

 やっぱりお風呂はいいものだ。


 年が離れているからか、妹と思っているからか、どんな理由かは分からないけどそういう雰囲気にはならないようで少し安心した。

 いや、それ以前に義娘に欲情してる時点で節操なしなのだけれど、実姉には欲情していないし、兄弟姉妹相手なら大丈夫なのかもしれない。


 メルヴィナさんは……ノーカンで。

 あの人も姉みたいな存在ではあるけれど、普通に20代で大人の女性だからな……。

 いや僕……というか分身というべきか、結構節操なしなのでは……?

 こういうところが姉の星空と同じで、遺伝しているのだと思うと、気持ちが沈んでくる。

 母が不倫していた事もあるし、節操なしになってしまうのは、この家族……母方である奏家の呪いのようなものだ。

 僕が節操なしになるのを頑なに拒んでいるのは、それに屈するのが嫌だからだった。


「ソラお兄様、ありがとうございました」

「なんのこと?」

「リン様にお願いしたのは、私のためですわよね?」

「……僕はただ、柊さんから園芸部を立ち上げするためのアドバイスを聞かれただけだよ」

「ですが、ただ部員を募るだけなら他に手段はいくらでもございましたわ。それなのに校内放送で募ったのは、リン様が聖徒会にお入りになられない理由をきちんと知らしめておく必要があったからでしょう?」

「……」


 まああそこまで露骨だと、学年首席は気付いちゃうよね。


「ルージュちゃん、一人でやろうとすることは大人になるうえでもとても大事なことだよ。僕もそうやって頑張ってきたつもり。でも何でも一人で解決できるわけじゃないんだ」

「ええ、そうですわね」

「でもね、今まで誰も頼れなかった僕が、すぐに他人に頼れるわけないんだよね。そういう思考が抜けてるんだもん」

「……そうですわね」

「だから僕みたいに、徐々に慣れていこうね」

「……そうですわね」

「ルージュちゃん?ねぇ聞いてる?」


 ルージュちゃんが始まりの町のNPCみたいに同じ台詞しか喋らなくなっていたことに疑問を覚えた。


「ええ、聞いておりましたわ。その……今更ながら、ソラお兄様の僕っ娘にきゅんと来てしまいまして……」

「ちょ、違うよ!?正真正銘男だってば!?さっきまで、僕の何を見ていたのさ!?」

「何を……まあ、ナニ……ですわね」

「ルージュちゃんっ!!」


 なんとも締まらない兄妹のやり取りに、僕は我ながら説教が下手くそだと認識することになったのだった。

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