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男の大聖女さま!?  作者: たなか
第31章 頽堕委靡
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第625話 園芸

「部活動って、一人からでもできるんですか?」

「リン様、流石にわたくしも数に入れてくださいまし……」

「東子ちゃん、入ってくれるの?」

「勿論でございますよ。聖女様と専属メイドは一心同体なのですから」

「あ、ありがとう!」


 手を繋いで嬉しそうにしていると、これから話すことが話しにくくなるじゃないか……。


「ええと、申し訳ないのですが。聖女学園の部活動は、二人では足りないですね……」

「そ、そんな……」

「部活動と認められるには、顧問が居ること、部員が五名以上居ること、週に一回以上の集まりをすること、そして月に一回活動報告書を聖徒会に上げることの4つが必要です」

「結構、ハードルが高いのですね……」

「まぁ部の乱立防止でもありますからね。顧問が足りなくなってしまいますから」

「入ったばかりの私に先生の当てなんて……。あっ、天先輩は先生……」


 うっ、そう来るか……。

 手伝ってはあげたい気持ちはあるけれど、聖徒会と掛け持ちでは聖徒会側がおろそかになってしまう。

 聖徒会は原則週に3回放課後の集まりがあるからね……。


「最悪どなたもいらっしゃらなければ顧問をしてもいいですが、流石に聖徒会で手一杯です。学園も幽霊部員は良くても幽霊顧問はよく思わないでしょう」


 魔法で植物を元気にする方法は知っているけれど、そんなごり押しの知識しかない先生が居たとして、生徒のなんの実にもならないだろう。


 それに今回の『柊さんのやりたいこと』というのは、柊さんの聖女学園での実績作りのことだ。

 サクラさんが戦闘実技の講師をしていたように、僕が多目的ホールを作り直したように、何かしら良くしてほしいというエリス様のお願いを叶えるためのものだ。

 それを僕が関わってしまったら、ある意味実績を横取りしてしまうようなものだから、できるだけ僕は手伝わない方がいい。


「そうですよね、流石にそこまでお世話になるわけには……」

「規定には別に顧問は先生の中から選べとは書かれていません」

「つまり?」

「なるほど、学園内関係者なら教員である必要はない……学園専属の庭師の方々にお願いするということですね!」

「ですが、庭師の方々にとっては、業務外のことですよね?」

「一応庭師の方々の偏見をなくすという名目がございますが、それだけで快く引き受けてくださるでしょうか?」


 東子ちゃんの言うとおり、どうも貴族社会では『土を弄ったり泥やごみにまみれる職業は下々のやること』みたいな価値観があるんだよね……。

 だからこそ冒険者や庭師というのは雇いこそすれあまり良い目では見られないらしい。

 むしろそういう人達が僕たちの代わりにやってくれるから、僕たちは清潔でいられたり、きれいな景色を見ることができているのだから、とても誇るべき仕事なのに。


「どちらにせよ初めのうちは部専用の土地は持てないでしょうし、庭師の方々のやられている普段のお仕事のお手伝いするというのはどうでしょう?」

「確かに、それなら庭師の方々の負担も減りますね」

「聖女院にも庭師の方々がいらっしゃいますから、その人達に聞いてみるのもいいと思います。せっかく聖女院にいるのですからそれを生かさない手はないでしょう」

「なるほど、学園と聖女院の庭師様で意見交換をする橋渡し役になりつつ、私達も知見を得られると。流石はソラ様でございますね」


 餅は餅屋。

 いい環境にいるのだから、それを生かさない手はない。


「顧問と当面の活動内容は分かりましたが、肝心の部員の確保はどうしましょう?」

「リン様は聖女様なのですから、聖女様の知名度を利用なされてはいかがでしょう?」

「校内放送で募集するんですか?」

「はい。私が相談したかったのは、そこなんです」

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