表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
男の大聖女さま!?  作者: たなか
第31章 頽堕委靡
773/1283

第608話 誓言

「涼花さんっ!?」


 ガラガラと医務室の扉を開く。


「静かになさい。ここは病室ですよ」

「ご、ごめんなさい、皆さん。それと白虎……居たんだ」


 まさか人の常識に疎いはずの神獣に常識を解かれるとは思わなかった。


「すみません、白虎様に皆様……。あの、涼花様は?」

「魔力不足です。じきに目が覚めるでしょう」

「そ、そっか。よ、良かったぁ……」

「ソラ、ひとつ忠告があります」

「忠告……?」

「涼花は自らの寿命を削ってまで今回の修行を早めようとしました」

「え……?」


 どうしてそんなことを……?


「まだ分からないのですか?涼花のように無茶をする人間が多いのは、あなたのせいですよ」


 僕の、せい……?




「私のせい……」

「ソラ様、我々民はソラ様の代わりに死ねるのなら本望だと思っております」

「エルーちゃん、そんなこと言わないで……」


 僕の方こそ、皆が死ぬくらいなら……。


「いいえ、これでソラ様がお変わりになられるのでしたら……失礼を承知で申しあげます。魔族との均衡を破られるほどの偉業を為し遂げられたソラ様でさえ、毎回身をすり減らされて帰ってこられる。親衛隊の皆様はやがて、そうでもしないと魔族達には勝てないのだと、そう思うようになったのではございませんか……?」

「でも、それじゃあ私に見捨てろって言うのっ!?」


 最初の方の僕は考えなしだったかもしれないけど、今はそうしないと救えなかった命があることだってあったと思う。


「そうではございません!強敵がいるのなら、私も共に戦います。大魔法をお使いになるのに魔力が足りなければ、私達のもお使いください。常に何があるか分からないのでしたら、いつでも私をお側に置いてください!もっともっと……周りを頼ってくださいませ……!」

「エルーちゃん……」


 音もなく伝う涙を拭うこともせず、エルーちゃんは真っ直ぐとこちらを見つめていた。

 その顔は、決意したように凛々しかった。


「そうだ。もっと周りを頼って、お姫様……」

「涼花さんっ!」

「涼花様!」


 涼花さんは僕の左手を取ると、ちゅっとその甲に口づけをした。


「もっとあなたと歩ませて欲しい。私の願いは、それだけさ」


 不器用なのは、僕だけじゃなかった。


「ぐすっ、ごめんなさい……ごめんなさいりょうかさんっ……!わたしもう、やくそくまもるから……!ぐすっ。だからおねがい、もうこんなむちゃしないでっ……!」

「……そうだな。私達は共に秘密を分かち合った三人だ。皆で一緒に考えよう」

「そうですっ!もう皆さんお一人で抱え込むのはやめましょう」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ