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男の大聖女さま!?  作者: たなか
第31章 頽堕委靡
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第592話 両立

「わ、私が……会長……ですか?」

「すぐに会長になってほしいという話ではありません。いえ、私としては代わってもらえるのならそうしてほしい気持ちはありますが……」


 男の僕なんかが会長やるより、その方がずっと健全だろうし。


「将来会長になる気がおありなら、まずは副会長として経験を積んでいただいて、三年生に会長として腕を振るっていただくのがこの学園の仕組みです」

「でも、忙しいのですよね?」

「確かに会長のお役目は忙しいですが、決定権があります。リン様がこの学園を住みやすい環境に整えたいというのなら、会長という役職は便利に働くと思います」

「……」

「それだけではありません。会長には毎年『会長権限』が与えられます」

「『会長権限』?」

「それは学園が出来る範囲で、なんでも一つ希望を叶えられるというものです」

「例えばサクラ様はこの学園の食堂に『揚げパン』を導入させたことで有名ですね」

「一つ上の涼花様は私を武術大会に参加させることに使ったり、その前のソフィア女王は私を副会長として聖徒会に入ってもらうために使いました。ですから権限は私的なことでも構わないみたいですね」


 よくよく考えると、二人とも僕に『会長権限』使ってるのか……。


「ソ……シエラ先輩に、際どいナース服を着せるとかでも……?」

「いや、あなたが会長になっている頃には私、卒業してるでしょう……」


 急になんて世にも恐ろしいことを言うんだ、この人は……!?

 同じ年に柊さんが来なくてよかった……。


「そ、そうですよね、残念……」

「一度でいいから、見てみたかったです……」

「きっと、お似合いですのに……」


 なんで味方が一人もいないの?

 ここにいる全員、僕の性別知ってるよね……?


「でも、私……」

「学業の件、ですよね?」

「っ、は、はい……」


 そう、真桜ちゃんと僕達で追い込みをしたものの、なんとか合格したというレベル。

 彼女の成績では、聖女では異例のFクラスとなっていた。

 しばらくは勉強についていくのも大変だろうし、聖徒会に入ったところで両立できない恐れがある。


「無理にとは言いません。もしやりたいのなら私も勉強面では支援したいと思っています。ですが他にやりたいことがあれば、それを優先して構いません」

「東子ちゃんは……」

「リン様のお好きなようになされるのがよろしいかと」

「うっ……」


 助けを求めたつもりだったのだろうが、突き放されてしまっていた。

 これでは僕が悪者だな……。


「東子ちゃんも一緒で構いませんよ。人手はいくらでも欲しいですしね」

「リン様が入られるのでしたら、私もお供します」

「少し……考えさせてください」

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