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男の大聖女さま!?  作者: たなか
第31章 頽堕委靡
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第588話 汚染

「そういえば私、真桜ちゃんの誕生日プレゼント、用意してないっ……!?」


 その事に気づいたのは、聖女院で僕の何日か遅れの誕生日パーティーが行われたその翌日。

 真桜ちゃんの誕生日は、僕の二日前。

 僕の誕生日なんかよりずぅっと大切な、一歳の誕生日だったのだ。


「気持ちだけで十分」

「駄目だよっ!私があんなに祝われたのに……。真桜ちゃん、なんか欲しいものない?欲しいの何でもあげるからさ」

「こらこら、姪っ子じゃないんだから、なんでもあげようとしないの!ソラちゃんに頼めば何でもしてくれるなんて聞いたら、真桜が調子に乗るかもしれないでしょう?」

「真桜ちゃんだって実年齢は私のちょこっと下なんだから、そのくらいの分別はあるんじゃ……」

「こちとらカーラと赤ちゃんプレイごっこしてたから、身も心も赤ん坊よ!」


 元から身は赤ん坊でしょ。


 そもそも赤ちゃんプレイごっこって何……?

 しばらく赤ちゃんになりきってたから、心も子供に戻りつつあるって言いたいの?


「真桜様は夜な夜な子作りに勤しむお二人の姿を直接見て、真似をしておられるのです」


 道徳教育の欠片もない回答が帰ってきたんだけど……。


「私が飲まなくなった代わりにパパが飲んでいるの。効率的でしょ?」


 母乳に効率性なんて求めないでよ、母親(サクラさん)をなんだと思ってるんだ。

 というかアレンさん達のそんな話、聞きたくなかったんだけど……。


「ばぶぅ、まま、おっぱい」

「親の真似をなさる真桜様、とても微笑ましいですね」


 いや、全然微笑ましくないよ、何言ってんのカーラさん。


 あの一件以来、カーラさんの真桜ちゃんへの愛情がおかしな方向に向かっているような気がする。


「って、直接……!?ちょ、ちょっとサクラさんっ!赤ちゃんが居る前で、堂々とそんな……ことしてたんですかっ!?」


 真桜ちゃんを汚す悪い大人は、たとえ実の母親でも許せないっ!


「言っておくけどね、私は被害者よ?」

「えっ……?」

「最初は真桜を別室にしたり居ないときにしていたのだけれど、この子毎回意地でも魔法で盗撮してくるから、もう諦めたのよ……」


 汚れてたのは、本人だった。


「だって美男美女がくんずぼくれつしているなんて、目に納めないのが損でしょ」

「盗撮は犯罪だよ……」

「家族に隠し事をするのが悪い。惜しむらくは、今の私に食欲と睡眠欲しかないことか……。だがこれを映像化しておけば……私の三大欲求が満足したとき、私は最強になる……!」


 本音が漏れ出てるよ。

 何が最強だよ、ただの変態じゃないか……。


「ともあれ、今はソラちゃんのプレゼントよね」


 その変態(真桜ちゃん)の矛先が僕に向いたとき、ぞくぞくぞくっと悪寒がした。


「え、えっちなのは、ダメだからね……?」

「そのボイスが既にご褒美なんだけど。そうね……ソラちゃんが元気になったら、コスプレでもしてもらおうかな」

「う……そ、それくらいなら……」


 誕生日を忘れていたわけではないけど、プレゼントを用意していなかったのは僕に非があったし、えっちなことよりは全然マシだ。


 でもそれを了承して真桜ちゃんが帰った後しばらくして、えっちなことを引き合いにしてコスプレを妥協案にしたことで、僕がコスプレを断らなくなることを読んでいたことに気付いてしまった。


 真桜ちゃん、恐ろしい子……。

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