表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
男の大聖女さま!?  作者: たなか
第31章 頽堕委靡
744/1283

第586話 肥大

「話を戻すが、ソラ様は殿方である前に聖女だろう?」

「まあ、一応……そういうことにはなっていますが……」

「聖女様は法そのものだ。私の母上も若い頃は結構やんちゃしたそうだしな……」

「いや、でも流石に女学園に男が混じって良いなんて法を作るのはおかしいですって……」


 それじゃあただの法をねじ曲げようとする独裁者だよ……。


「しかしソラ様がそんな心配をするなんて、おかしいこともあることだな」

「へ……?」

「くぅ……呆けた顔……かわ……!これで、男の子なのか……」


 心の声が漏れてるよ、涼花さん……。


「ってそ、そうではなく!」

「……?」

「可愛いものに、性別は関係ないだろう?」

「涼花さん……!!」


 同志よ!と思いながら、その僕よりしっかりした手をそっと持ち上げる。


 そうだ。

 シル君も、東の国の静馬王子も、男の子だって可愛いものに優劣や貴賤などない。

 そんなこと、分かりきっていたはずなのに……。

 いや、だからといって女装した自分が可愛いなどとは思わないけど……。


 でも、その気持ちには共感できる。


「や、やめてくれっ!」

「……?」

「今触れられると、その……色々と思い出してしまう……!」

「色々って……ぇっ!!?」


 僕もなるべく思い出さないようにはしていたけれど、今の僕の頭の中には、()()()()()()()()()()()()()()()がある。

 それは下手をすれば家族や本人しか知らない、いわゆるお風呂での記憶や、トイレでの記憶もあるわけで……。

 

 しかも、厄介なことに幼い頃からの体つきの変遷が分かるかのように、僕の記憶に混じり混んでいた。

 エリス様、まさか故意じゃないよね……?


「『ああ、これを機にソラ君は少し肉食になった方が良いと思って……!』」

「ちょっ、何言ってるんですかっ!」


 紛うごとなき故意だった。


「『あら、元気❤️』」

「ちょおおおおっっ!?」


 サンニントモ、ドコミテイッテルンデスカ……?


 エルーちゃんは徐々に顔を赤くしていき、涼花さんは耳だけ赤くし、シルヴィアさん(エリス様)は最初から顔を真っ赤にしていた。


 僕は恐ろしくもカタカタカタと、まるで怪談を聞いた後に怖くなったかのように視線の集中する方へ目を傾けていくと、どうもそれは僕の下半身に集中しているようで……。


 先ほど、僕はエルーちゃんの()()()、知ってしまった。


 つまり奇しくもここにいる三人は、皆僕のことを……!


「さ、更に大きく……!?」


 やば、想像しちゃ、ダメぇっ!?


「!?!?!?『あっ、ちょっ、ダメ、シルヴィ!』っ……」

「シルヴィアさんっ!?」


 シルヴィアさんが倒れたっ!


 ああそっか、エリス様の分の感情とシルヴィアさんの分の感情で、感度が二倍なんだっけ……。


<私達に頼れば良いのに……。ヘタレ……>


 できるわけないでしょっ!!


「もう、なんとでも言ってくださいっ!!」


 張ったテントを片付けるために、魔法に頼る僕に、憑依を解除したエリス様は僕にだけ聞こえるように、ぼそっと念話するのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ