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男の大聖女さま!?  作者: たなか
第31章 頽堕委靡
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第583話 分割

「つまりリッチが姉の姿になったのを見て、精神が耐えられなくなった僕は、一ノ瀬さんと同じように魔力が暴走して自力で押さえることができなくなったと?」

「『そうよ。その懸念があったから、リッチに近づけたくなかったの』」


 もしエリス様が僕にその話をしようとしたら、必ず僕の姉の話をしなければならなくなる。

 仮にリッチが姉に化けるかもしれないという話を事前にされていたとして、僕はその事実に耐えられただろうか?


「ごめんなさい、エリス様。僕のせいで皆さんに迷惑かけちゃって……」

「『分かれば良いのよ、分かれば。素直なソラ君は好きよ……』」


 シルヴィアさんの姿で恥ずかしがられると破壊力が凄いんだけど……。

 これがギャップ萌えというやつなのだろうか?


「それで、僕の身体は今どうなっているんですか?」


 さっきエリス様が三等分したとか言っていたけど……。


「『もし今の状態を解消しても、再び同じことが起きてしまえば、ソラ君はきっと耐えられない。』ですからその『姉との記憶』を三等分して、三人で分けたのです」

「さ、三人って……」


 涼花さんと、エルーちゃんに……?


「そんな魔法、なかったと思いますが……」

「『魔法じゃないわ。私しか使えない技よ。ともかく、ソラ君から取り除いた記憶をそのまま空にしてしまうと記憶の補整による改竄(よくないこと)が起きるから、空いたソラ君の記憶領域を二人の記憶で埋めたの』」

「そ、そんな……ふ、二人は大丈夫なんですか!?」

「私達が受け取れたのは、ソラ様の記憶の、たった3分の1です……。辛くてしんどいですが、もしこの記憶の全てがソラ様にあったかと思うと、私はっ……!ぐすっ……」


 僕の嫌な記憶の3分の1を受け継いだなんて、エルーちゃんや涼花さんという存在と価値を汚してしまったようなものだ。


「私は母上もサクラ様もソラ様も側で守れなかった半端者だ。でも、ソラ様が助かるのなら喜んで記憶を差し出す覚悟はある」

「わ、私も、同じですっ!」

「涼花さん、エルーちゃん……」


 僕が今姉の話を聞いても大丈夫になったのは、度重なるストレスで僕の精神が強くなったからではなく、単純に姉との嫌な記憶がごっそり抜け落ちたからだったのか。


「えっ……!?ちょっ、ちょっっっっと待ってください!!」

「「?」」


 ()()()()を三等分して、二人に()()()んだよね?


「涼花さんっ!も、もしかしてっ、ぼ、僕のこと……!?」


 そう口にしたとき、僕は慌てて今着ている衣服を確認した。

 衣服が手遅れとばかりに可愛らしい()()()()()()()()()()()をしていたことに気付いた僕は、トドメに一人称が『僕』に戻っていることにも気付いてしまった。


 よく考えたら涼花さんがここに居て、エリス様が『ソラちゃん』ではなく『ソラ君』と呼んでいる時点で、気付くべきだったのだ。


「ああ。ソラ様は、殿方だったのだな……」


 今まで頑なに隠し通してきた性別が、ブルームさんにまで隠すことを伝えてきた事実が、僕の預かり知らぬところでバレていた。

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