第505話 聖夜
師走という名の通り、12月はあっという間だ。
「聖夜にお呼ばれするなんて、ソラ様もダ・イ・タ・ン、ですね」
「セフィーもごめんね、こんな日に連れ回すなんて……」
相変わらず馬鹿なことを言っている忍ちゃんは無視する。
「いえ。私もお義母様と過ごしたかったですから」
「セフィー……」
セフィーはいつも不摂生なシェリーを気にかけてくれるし、何だかんだで一番家族思いの子だ。
「ソラ様もセラフィー様も、逞しくなられて……!いえ、ソラ様は既に逞しいちん……」
「忍ちゃん?」
「んむー!」
問答無用で忍ちゃんの口を閉じたセフィーに最高の功労賞を送りたい。
ナイスセフィー。
その様は阿吽の呼吸のようで、普段からセフィーには苦労を掛けていることがよく分かる。
「セラフィー様、私が言うより先にお止めになるということは、私よりも先にエッチな単語が来ると判断なされたということ。つまりあなた様は私よりも重度のむっつりスケベであることが証明されたのです!」
「そ、そんな……!わ、私はただ、忍ちゃんがお義母様に余計なことを言う雰囲気を感じただけで……」
「今のはどう考えても直接的だったでしょう。それにたとえセフィーがむっつりでも、私は別に気にしないよ」
人間誰だってそういう欲はあるものだ。
むしろひけらかすような人より好印象だと思うし。
「どうして私がむっつりであることが前提なのでしょうか……?」
「例え話だから」
というかセフィーが雰囲気で変なこと言うのが分かるくらいに洗練されるなんて、普段どれだけろくでもないことばっか口にしてるの……?
「口にするより中に……くださいませ!」
「……」
「お義母様、置いていきましょう」
「奇遇だね、今同じことを思ったよ」
今日の僕はサンタさん。
第88代聖女の渡瀬祷さんはイベント事に目がなく、毎年のクリスマスにサンタさんコスチュームで世界中の皆にプレゼントを配り歩いていたという。
僕はそこまでのことはできないけれど、せめてお世話になっている孤児院の皆には渡したいなと思ったのだ。
「貴重な性の六時間が……」
「帰ってもいいからね」
「お義母様がいつもより辛辣に……」
子供に聞かせられないから。
「じゃあいくよ」
こっそりと扉を開けると、みんな寝静まって――
――いなかった。
「「ソラさまだぁ!」」
え、なんで……?
「クリスマスパーティーをしていたんですよ」
院長先生のことばにがくりと項垂れた。
せっかくソラサンタがこっそりプレゼントしてあげようと思ったのに。
「そんな、良い子は寝る時間だと思ってたのに……」
「今まだ20時ですよ……。ソラ様は子供たちをなんだと思ってるんですか……」
「だからもうちょっと待つべきだって言ったのに……」
だって、子供たちの喜ぶ顔が早く見たくて……。
「先走るのはちんむーー!」
忍ちゃんが何か言っていたが、セフィーに止められていた。
「ソラさま、あそぼー」
「で、でも……」
僕はサンタとして……。
「いいじゃないですか。ソラ様せっかくお越しになっていただいたんですもの。これからクリスマスケーキを召し上がるのですが、ソラ様達もいかがですか?」
僕はプレゼントを渡したあと、サンタだったことを忘れて束の間のクリスマスパーティーを謳歌した。




