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男の大聖女さま!?  作者: たなか
第7章 慷慨憤激
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第50話 心配

 朝。

 昨日のことは覚えてないんだけど、なんか変なこと言ってなかったかな……?


 エルーちゃんに聞くも、顔を赤くして


「と、特になにも……ありませんでしたよ……?」


 と言われた。

 なんかやらかしたんだろうな……。


 ごめんなさい、と心のなかで謝っておいた。




「「おはようございます!」」


 下に降りると、セラフィーさんとシェリルさんが挨拶をしてくれた。


「おはようございます。お二人とも、そんなに畏まらなくても良いですよ」

「で、ですが……」

「まぁ無理にとは言いませんが……」


「いやあ……昨日のシエラちゃんは……可愛かったなぁ……」


 ミア様が噛み締めるようにそう言った。


 昨日の僕、本当に何をしたの……?




 学園に着くと、下駄箱に画鋲はなく、平和の訪れを感じた。


「あの、申し訳……」

「大丈夫ですよ。それに二人は知らないかもしれませんがあの日、私はこう言ったんです。『私はなにも見ていませんよ』と。だから謝る事なんて何もありません」

「シエラ様……!」


 そうこういいつつSクラスに入る。

 リリエラさんは二人の友人だそうなので説明が必要だと思い、授業が始まる前に二人をリリエラさんに会わせることにした。


「シエラさんっ、昨日は大丈夫でしたかっ!?エルーシアさんから高熱が出たと聞きまして……」

「私は大丈夫です。心配していただきありがとうございます。それより……」

「「リリエラ様!」」


 後ろに控えていたセラフィーさんとシェリルさんがリリエラさんの傍へ行く。


「セラフィー!シェリル!一昨日のことはお父様からお聞きしました」

「リリエラ様、あの……」

「あなたたちが親から虐待されていたというのに、私は気付くことができませんでした……。本当にごめんなさい……」

「リリエラ様……」


 セラフィーさんが多分事実を話そうとした気がしたので、僕は手を肩に置き制止し首を横に振る。


 僕にしたことは、リリエラさんは知らなくてもいいことだ。

 それが原因で三人の仲を裂くことだけはしたくなかった。


「リリエラさん、改めてセラフィーさんとシェリルさんです」

「そうね……もう二人には苗字がないのよね……」

「二人とも、白虎寮が満員らしいので、朱雀寮でともに過ごしているんです。私たちも先ほど、お友達になったんですよ」

「シエラ様……!」

「そうでしたのね!私の素敵な友人同士が仲良くなってもらえるなんて、とても嬉しいわ!そうだ、今度皆さんでお茶会でもしましょう!」

「いいですね、是非!」

「リリエラ様、シエラ様……ありがとうございます」


 ちょっと強引だったかもしれないけど、三人が幸せであってくれるならそれでいいかな。






 放課後、久々に集まった聖徒会でもみんなから心配されてしまった。


「シエラさん、熱になったと聞きましたが大丈夫でしたか!?」

「シエラ君、いじめにあっていたって本当か!?熱で倒れたのも、もしかしてその影響かい……?」

「あれ……その話って聖徒会の皆さんにしましたか……?」


「すみません……実はシエラさんのこと、私が我慢ならなくて話してしまいまして……」


 リリエラさんが話してくれたようだ。

 つくづく人がいいみたいだ。


「きっと、優秀さに嫉妬したんだろうな……。シエラ君、気にする必要はないからね。君が優秀なのはここのみんなが知っていることだし、少なくとも私は君の容姿は可愛いと思っているよ」


 そ、そんなかっこいい容姿でさらっとかっこいいこと言うんだから涼花様ってずるいよね……。

 学内の人気が高いのも頷ける……。


 整った容姿と憧れのようなかっこいい顔が近くて思わず飛びのいてしまう。


「だ、大丈夫です。もう当事者とは和解しましたから……。多分もう大丈夫だと思います……」

「そ、そうだったのか。しかし人気者は大変だね」

「それ、涼花ちゃんが言うのだけは違うと思うよ……」


 ミア様の言葉に全員で頷く。


「ライラ様まで頷かなくとも……」

「涼花は少し、自覚を持ったほうがいいと思うわ。でないと、いつか痛い目に合う」

「具体的には?」

「後ろから刺される」

「それは面白い。刀術士として、返り討ちにしてみたいですね」


 いや、そこで闘志を燃やすのはおかしいでしょ……。

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