第494話 未遂
珍しくエルーちゃんより早く目覚めると、僕はお義母さんが既にいないことに気が付いた。
エルーちゃんはまだ起きておらず、僕の腕の中にいた。
そういえばリリエラさんの時は緊張と心臓に悪い方のドキドキで眠れなかったけど、エルーちゃんだと大丈夫だな。
エルーちゃんにはこれ以上ないくらい醜態を晒しているからかもしれないが、なんか安心できるんだよね。
こんな小さな身体で、いつも僕を支えてくれるのだから、感謝しかない。
僕が髪を優しく撫でると、少し寒さを感じてもぞもぞと動こうとした。
「んんっ……」
不意にちょっと艶かしい声が漏れてくると、僕は何故かまた昨日のお風呂での出来事を思い出してしまった。
「あ……」
朝の生理現象がっ……!?
昨日の回想と相まって元気いっぱいになってしまった僕は、エルーちゃんが起きる前に何としてもそれを鎮めるべく清浄を下半身に当てた。
「んんっ……そあさま……?」
清浄は僕の生理現象の源を消し去る効果もあるが、身体を綺麗にする効果もある。
そして僕の放った清浄は抱きついて寝たエルーちゃんにも当たってしまい、エルーちゃんの身体が清められる。
そのせいで全身に違和感を覚えたエルーちゃんは、ゆっくりと目を開けながら、いつもよりワントーン高い可愛らしい声で反応した。
そのタイミングで、良からぬことが起きた。
僕のソレが、寝起きのエルーちゃんの顔をビタンと蹴ったのだ。
「エ、エエエルーちゃん!?こ、こここれはそのぉ……」
「ソ、ソラ様の……ソラ様が……!?」
取り繕うには、もう遅かった……。
けど、これは寝惚けてるわけじゃないんだよね?
「すみません、ソラ様……。私が主様より遅く起きるなんて……」
目を擦りながらそう答えるエルーちゃんにワンチャン寝惚けて忘れてくれることに賭け、僕は話題を変えることを選んだ。
「いいの、いいの、エルーちゃん!あまり張り詰めすぎないでね」
「ソラ様……張り詰め……」
「ちょっ……!?」
僕の作ったテントをまじまじと見つめながら言わないでよっ!?
エルーちゃんが寝惚けているのは貴重な気がするけど、それじゃあなんか違う意味に聞こえるからっ!
「おはようございます、ソラ様。あの、すみませんでした……」
「いや、僕の方こそ。変なもの見せてごめんね」
「変なものなど、とんでもない!」
なんかとっても気恥ずかしくなってきた。
僕たちがお互いに謝っていると、ワープ陣から人がやって来た。
「「お義母様!」」
「シェリー、セフィー!」
「ソラ様、ご無事で」
「シル君まで……」
突如やって来た三人は、僕とエルーちゃんがお互いに顔を真っ赤にして謝っている姿を見て、何故か一歩下がろうとしていた。
「もしかして……お邪魔でしたか?」
「い、いや!そんなことないよ!!」
「もう一人の、お義母様……?」
ちょ、何言ってるの、セフィー!?
「真っ赤……ごめん……。まさか、もう事後……」
「ち、違うからっ!!」
「ち、違いますから!」
シェリーの爆弾発言に、偶然にも息ぴったりなところを見せてしまい、誤解は深まるばかりだった。




