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男の大聖女さま!?  作者: たなか
第1章 天孫降臨
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第5話 天庭

 しばらくサクラさんとエルーちゃんが話を弾ませているさまをルークさんと眺めていた。

 ルークさんは「サクラ様が聖女になられて初めて巡行で赴いたのが西の村だったのです」と補足してくれた。




「さて、ここから先は聖女同士の話をいたしましょう。ソラ君、さあ、手を」


 言われるままに手を取ると、ルークさんとエルーちゃんは何かを察したのかお辞儀をし「いってらっしゃいませ」と口を揃えて言った。


 次の瞬間、ぐっと自分の体が持っていかれるような、はたまた無重力のような感覚にも感じる奇妙な感覚を覚える。

 それが終わるや否や、僕たちは真っ白な空間に移動していた。


「こ、ここは……?」


「ここはエバ聖の最後のアイテムを獲得した聖女とエリスだけが来れる空間、天庭と言われる場所よ。」


「え、エバ聖……!?」


 略し方は僕と違う気がするけど、なんだか耳馴染みのある単語。


「そ。EVER(エバー) SAINT(セイント) FANTASY(ファンタジー)、あなたもさっきまでやってたでしょう?」


 こんなところであのゲームの名前が出るとは思わなかった。というかエバ聖って略すんだ……。

 けど、どうしてさっきまでやってたことまでバレてるんだろう。神様は何でも見ているということなのだろうか?

 ……神様、サクラさんに気軽に何でも教えすぎでは?いくら神様でも僕のプライバシーくらいは守ってほしい。


「キミにあのゲームを渡した女性がいたでしょう?覚えてない?」


「え……?あのゲームは郵便受けに私宛で入っていたので……。差出人も書いてなかったですし……」


「…………はぁ……まったくエリスったら、私の仕事を増やさないで欲しいわ……。いつもは居るくせに、天庭(ここ)にもいないし……」


 サクラさんは呆れてばかりのようだ。エリス様とやらは僕と同じような駄目人間の類いかもしれない。いや、人間じゃないから、ええと……駄目神様?


 サクラさんのあとをついていくと、テーブルと白いソファーが置かれた部屋に着く。


「遠慮せず座って」


 サクラさんが促し先に座るので、僕も追うように反対側に座る。ふかっとした、雲みたいなソファーで肌心地がとてもよい。


「エバ聖はエリスがこちらの世界に招待したいと思った人間に配るゲームよ。このゲームで最後のアイテムである『聖女への片道切符』を受け取ったとき、こちらの世界に転移してくる仕組みになっているの」


「ということは……サクラさんもエバ聖を?」


「そうよ。私は100時間とちょっとでコンプしたからあまり詳しい方ではないけどね」


 早すぎる……。いや、僕がのんびりやってただけか。でも、少しだけ年の離れた大人の女性と同じゲームについて話せることなんて、前世ではなかった。

 僕たちはしばらくオタクトークに花を咲かせた――

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