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男の大聖女さま!?  作者: たなか
第5章 楊震四知
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第35話 失踪

 朝。

 下に降りると、ソーニャさんが見当たらなかった。


「おはようございます。ソーニャさんは?」

「それが……一昨日から、帰ってきてないの。外泊許可はしているから多分孤児院に帰っていたんだと思うけど……」


 何かあったのかな?

 ちょっと心配だ。


「帰りでいいなら、私が見に行きましょうか?」

「ごめんなさい、お願いできるかしら?孤児院への地図は担任の先生に聞けばもらえると思うわ」

「わかりました」




 フローリアさんと別れて学園に向かう。


「シエラ嬢、おはようございます」

「おはようございます」


 教室に着くと、イザベラさんとリリエラさんが挨拶してくれた。


「おはようございます。リリエラさん、少しよろしいでしょうか?」

「はい」

「聖徒会へ応募されていたと思いますが、私がリリエラさんを風紀委員長に推薦いたしました。勝手で申し訳ないのですが、引き受けてくださいますか……?」


「えっ……!?」


 あれ……なんか思っていたのと違う反応。

 もっと喜ぶと思ったんだけど……。


「ええと……失礼を承知でお聞きしますが、シエラ嬢は既に聖徒会のメンバーなのですか?」


 あっ、そっちの話か……。


「ええと、昨日聖徒会長のソフィア様から副会長に任命をされました……」

「「ええっ!?」」


 周囲がざわつく。

 だけど、リリエラさんは驚かずこちらを見つめ返してくる。


「ありがとうございます、シエラ副会長」


 また大層な肩書きになってしまったなぁ……。






 授業は少し上の空だった。

 授業よりも、空いている隣の席の方が気になって仕方がなかった。





 結局、授業が終わっても、ソーニャさんは来なかった。


「シエラさんっ!ちょっといいですか?」


 マリエッタ先生がちょいちょいと教壇に招いてくる。

 体と目線を降ろして話を聞く。


「ソーニャさんの件なんですけれど……何か聞いてはいませんか?」

「ちょうど私もお伺いしようと思っていたんです。実は私も休日の初日に孤児院に行くと伺って以降、ソーニャさんを見ていないんです……。マリエッタ先生は何かご存知でしょうか?」

「いいえ……。なるほどっ、孤児院に行っていたんですね。でも返ってこないということは、何かあったのでしょうか?」


 しゅんとなるマリエッタ先生。


「あの、実は寮母のフローリアさんに頼まれて、一度孤児院へ確認しに行くつもりなんです。それでその……孤児院の場所ってお分かりになりますか?」

「なるほどっ!わかりました。本当は私が行きたいところですが、ここは同級生のシエラさんにお任せしようと思いますっ!地図、持ってきますね!」


 しゅたたたっと走ってマリエッタ先生が出ていく。


「リリエラさん、あの……」

「聖徒会の件は大丈夫よ。会長には私から伝えておくわ。その代わり、ソーニャさんのことは頼んだわよ!」


 やっぱり、リリエラさんは少し気が強いところがあるけど、いい人だ。


「ありがとうございます」




 マリエッタ先生から地図をもらって学園の外へ行く。





 孤児院は学園からも聖女院からも少し遠いところにあった。


 孤児院の周りには誰もいなかった。

 中に入れば誰かいるだろうか。




 中に入っても暗く、しんとしていた。

 だれもいないのかな?


 奥の部屋に入る。ここは食堂だろうか?

 片付けられた食器に僕は誰もいないのだと、そう思っていた。

 もしかして地図の場所、間違えたかな……?




 隣の部屋は……寝室だろうか?


「……っ……」


 人の気配がしたのでそちらを見ると、子供たちと一緒にうずくまるソーニャさんがいた。


「ソーニャさん!」


「嘘……シエラ……どうして……?」

「探したんですよ。……何かあったんですか?」

「ダメ、シエラ……!……来ちゃ……ダメ!」


「うぅ……」

「こほっ……こほっ」


 よく見ると、子供たちもソーニャさんも熱を出したように顔が赤く、腕に黒い斑点ができていた。

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