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男の大聖女さま!?  作者: たなか
第5章 楊震四知
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第33話 休日

「んぅ……」

「おはようございます」


 休日。

 起きて体を起こすと、いつものようにエルーちゃんの挨拶が聞こえてくる。


「本日はどうされますか?」

「聖女院に行こうと思ってるけど……とくに何かしに行くというわけじゃないから、エルーちゃんも今日は好きに過ごしてよ」

「ご一緒……」

「約束を守ってくれるのはありがたいけど、無理をしてほしいわけじゃないから。たまには休んでほしいな」

「シエラ様……」




 僕は着替えてエルーちゃんと下に向かうと、ソーニャさんとフローリアさんがいた。


「おはようございます」

「シエラちゃん、エルーシアちゃん、おはよう」

「……おはよう」


「ソーニャさんも今日はお出かけですか?」

「……うん。今日は孤児院に帰る」


 ソーニャさんは孤児院の出だったのか。


「立ち入ったことを聞いてしまってすみません……」

「……いい。どうせそのうちわかる」




 朝食を済ませると、外出許可証をフローリアさんに渡してから、部屋に帰る。


 部屋のクローゼットの中に『ワープ陣』を置く。


 以前のクラッシュボアの件で学んだ僕は、聖女院の自室にアイテム『ワープ陣』を置いておいたのだ。

 以前使った『簡易ワープスクロール』は使い切りアイテムだが、『ワープ陣』は使い切りではない。

 1桁までしか持てず量産はできないが、何度も行き来する場合にはこちらを使った方が良い。

 まあ、こんな使い方をする予定ではなかったんだけどね……。


「エルーちゃんは、今日はどうするの?」

「私は、今日はお買い物に行こうかと」

「そっか。聖女院から行く方が近いし、一緒にワープする?」

「い、いえ……。どちらかがきちんと外に出ていくようにしないとフローリアさんに怪しまれそうな気がしますし……」


 効率を求めた結果色々なものを失うところだった......。


「エルーちゃんがいてくれてよかった……」

「ふふ、恐縮です」

 

 エルーちゃんと別れ、聖女院にワープすると、ちょうどメイドさんが清掃をしていた。


「シエラさ……大聖女さま!?」


 驚かせて、尻もちをつかせてしまった……。申し訳ない。

 一応、シエラがソラだということは聖女院の人たちには共有されている。


「ご、ごめんなさい……。大丈夫ですか?」

「え、ええ。おかえりなさいませ」


 とくに用事があるわけでもなかったけど、ひとまずルークさんに会いに行くことにした。





「シエラ様!?」

「……以前から思ってたんですけど、()()()は、この格好の時は敬称を付けないほうがよいと思いますよ」


「わ、わかりました。シ、シエラ……」

「ええ、お兄様」


 にこっと笑うと、わなわなと震えるルークさん。


「ああ、私にもついにこんなにかわいらしい妹が……」


 弟だってば……。





 金髪のウィッグを外して庭園へ出ると、カキンカキンと遠くから音がしてくる。


 野球でもしてるのかな……?

 いや、この世界であるわけないか。




 音のする方向へしばらく歩いていると、やがて初めて見る施設に来た。

 訓練用の剣を交えたり、素振りをしている人、魔法を的に当てている人などがいた。

 ここは、訓練場かな?




 こんなところがあるなら、エルーちゃんを教えるときに使えばよかったかも。

 でもちょっと庭園から遠いか……。




「大聖女さまっ!?」


 一人の訓練を見学している騎士?の男性が驚きの声を上げる。


「邪魔をしてしまいすみません。訓練の音が聞こえてきたのでここまで来てしまい……。失礼ながら、こちらは何かの訓練の最中でしょうか?」

「ええ、ここは聖女親衛隊の訓練場っす。ちょうど今は隊長に順番に稽古をつけてもらっている最中っすね」


 見ると、隊長と思われる人が騎士二人相手に稽古をつけている。

 確か、聖女親衛隊の隊長さんって……サクラさんの旦那さんだったよね?


「うわぁ!?」

「反応が遅い!ほら次は……」


 隊長さんが騎士を跳ねのけ剣を立てると、こちらに気づいたようだ。




 隊長さんがこちらに来ると、跪いて手の甲に口づけをしてきた。


「お初にお目にかかります、大聖女ソラ様。私は第99代聖女親衛隊隊長、アレンと申します」

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